踵骨骨折
概要
踵骨骨折は足部の踵骨に生じる骨折で、足部骨折の中で最も頻度が高い。高所からの転落など強い外力が踵部に加わることで発生しやすい。治療後も後遺障害や機能障害を残すことが多い。
要点
- 高所からの転落や交通事故など強い外傷で発生
- 画像診断で骨折型や関節内外を評価
- 治療後も足部の機能障害や疼痛を残しやすい
病態・原因
踵骨骨折は高所からの転落や重い物の落下などによる踵部への垂直方向の強い圧力が主な原因である。踵骨は海綿骨が多く、衝撃により粉砕骨折となることが多い。骨折型は関節内骨折と関節外骨折に大別される。
主症状・身体所見
患部の腫脹、疼痛、歩行困難が主な症状である。踵部の広範な腫脹や皮下出血、踵の変形が見られることが多い。重症例では足関節の可動域制限や足底の膨隆も認められる。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| X線検査 | 踵骨の骨折線、粉砕像、Böhler角の減少 | 骨折型や転位の評価に有用 |
| CT検査 | 関節内骨折の詳細な骨折線・転位の描出 | 手術適応や術式決定に重要 |
| MRI検査 | 骨髄浮腫や軟部組織損傷の評価 | 合併損傷の検索 |
X線でBöhler角(正常20-40°)の減少が特徴的。CTは関節内骨折の評価や術前計画に不可欠である。診断は臨床症状と画像所見の両方から行う。
治療
- 第一選択:保存療法(非荷重固定)、または手術療法(観血的整復固定)
- 補助療法:リハビリテーション、疼痛管理、腫脹管理
- 注意点:早期荷重は変形治癒や関節障害のリスクがあるため慎重に行う
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 距骨骨折 | 距骨部の圧痛・腫脹、足関節運動制限 | X線・CTで距骨の骨折線 |
| 足関節捻挫 | 明らかな骨折所見なし、腫脹は軽度 | X線で骨折を認めない |
| 足底腱膜断裂 | 足底部の圧痛、歩行時の足底痛 | MRIで腱断裂の描出 |
補足事項
踵骨骨折は治癒後も足部の可動域制限や慢性疼痛、変形性関節症を残すことが多い。重度の場合は社会復帰や日常生活動作に長期的な影響を及ぼすため、早期からの適切なリハビリ介入が重要となる。