腹圧性尿失禁
概要
腹圧性尿失禁は、咳やくしゃみ、重い物を持ち上げるなど腹圧が上昇した際に、意図せず尿が漏れる疾患である。主に骨盤底筋の支持機能低下や尿道括約筋の機能不全が原因となる。中高年女性に多くみられ、QOL低下の要因となる。
要点
- 腹圧上昇時に尿漏れが生じる
- 骨盤底筋や尿道括約筋の機能低下が主因
- 中高年女性に多い
病態・原因
骨盤底筋群の弛緩や損傷、尿道括約筋の機能低下によって、腹圧上昇時に尿道を閉じる力が不足することが主な病態である。出産や加齢、肥満、慢性の咳や便秘などがリスク因子となる。
主症状・身体所見
咳、くしゃみ、運動、立ち上がりなど腹圧が上がる動作で尿漏れがみられる。夜間頻尿や切迫性尿失禁は伴わないことが多い。骨盤臓器脱や膣壁の弛緩を認めることもある。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 尿流動態検査 | 腹圧上昇時に尿道圧低下・尿漏出を確認 | 診断の決め手となる |
| 咳テスト | 咳嗽時の尿漏れの有無を観察 | 簡便なスクリーニング |
| 尿検査 | 感染や血尿の有無を確認 | 他疾患の除外目的 |
尿流動態検査で腹圧性尿失禁の客観的証明が重要。画像検査(骨盤MRIや超音波)は他の骨盤臓器脱や腫瘍の除外に用いる。
治療
- 第一選択:骨盤底筋体操(ケーゲル体操)
- 補助療法:薬物療法(α刺激薬、SNRIs)、ペッサリー装着
- 注意点:体重管理、慢性咳・便秘の改善、重症例は手術(TVT手術等)も考慮
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 切迫性尿失禁 | 尿意切迫感とともに尿漏れ | 尿意切迫時に漏出、尿流動態異常 |
| 過活動性膀胱 | 頻尿・夜間頻尿・尿意切迫感 | 尿意切迫・膀胱容量減少 |
補足事項
腹圧性尿失禁はQOL低下につながるため、早期の介入が重要である。骨盤底筋訓練は継続が必要であり、患者教育が不可欠。重症例では外科的治療の選択肢も進歩している。