腸間膜静脈血栓症
概要
腸間膜静脈血栓症は腸間膜静脈に血栓が形成され、腸管への静脈還流障害をきたす疾患である。進行すると腸管虚血や壊死を引き起こし、急性腹症の原因となる。発症は比較的稀だが、迅速な診断と治療が予後を左右する。
要点
- 腸間膜静脈に血栓が生じ腸管虚血をきたす
- 急性腹痛や消化管症状が主な臨床像
- 早期診断と抗凝固療法が予後改善に重要
病態・原因
腸間膜静脈血栓症は、血液凝固異常、脱水、腫瘍、手術後、感染症、肝硬変や門脈圧亢進症などがリスク因子となる。血栓形成により腸管静脈還流が障害され、腸管浮腫や虚血、進行例では壊死を生じる。
主症状・身体所見
突然発症する激しい腹痛が特徴で、悪心、嘔吐、下痢、時に下血を伴う。腹部所見は初期には軽度であるが、進行すると腹膜刺激症状やショックを呈することがある。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 造影CT | 腸間膜静脈内血栓、腸管浮腫・壁肥厚 | 診断の第一選択 |
| 血液検査 | D-dimer上昇、白血球増多、CRP上昇 | 非特異的、虚血・炎症所見 |
| 超音波検査 | 静脈内血栓像、腸管浮腫 | 補助的、診断確定には造影CTが有用 |
造影CTで腸間膜静脈内の血栓像や腸管壁の浮腫・肥厚が診断の決め手となる。血液検査は補助的で、診断基準には画像所見が重視される。
治療
- 第一選択:抗凝固療法(ヘパリン静注、ワルファリン内服など)
- 補助療法:輸液、腸管安静、支持療法
- 注意点:腸管壊死例では外科的切除を検討、再発予防のため原因検索も重要
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 急性腸間膜動脈閉塞症 | 動脈性のため発症がより急激、血便が多い | 造影CTで動脈の血流途絶 |
| 虚血性大腸炎 | 高齢女性に多く、左側大腸に好発 | 内視鏡で粘膜びらん・潰瘍を認める |
補足事項
慢性経過例も存在し、門脈圧亢進症や肝硬変患者では発見が遅れることがある。急性例では早期治療が生命予後を大きく左右する。