腎実質性高血圧
概要
腎実質性高血圧は、腎臓の実質(糸球体や尿細管・間質)の障害により生じる二次性高血圧である。慢性腎臓病や糸球体腎炎などに続発し、しばしば難治性となる。進行すると心血管系合併症や腎不全のリスクが高まる。
要点
- 腎疾患により発症する二次性高血圧
- 塩分・水分貯留やレニン-アンジオテンシン系の活性化が関与
- 慢性腎臓病患者で高頻度、治療抵抗性のことが多い
病態・原因
腎実質の障害(糸球体腎炎、腎硬化症、糖尿病性腎症など)により、ナトリウム・水分貯留やレニン-アンジオテンシン-アルドステロン系の異常亢進が生じる。これが血圧上昇の主因となる。腎機能低下が進行すると高血圧も増悪する。
主症状・身体所見
多くは無症状だが、進行例では頭痛、動悸、浮腫などを認めることがある。身体所見として高血圧、眼底異常(高血圧性網膜症)、下肢浮腫、心雑音などがみられる場合がある。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 血液・尿検査 | 尿蛋白、血清クレアチニン上昇、eGFR低下 | 腎機能障害の評価に有用 |
| 腎エコー | 腎萎縮、腎皮質の菲薄化 | 慢性腎疾患の形態的評価 |
| 血圧測定 | 持続的な高血圧 | 治療抵抗性の場合が多い |
腎疾患の既往や合併、腎機能障害の有無、二次性高血圧のスクリーニングを行う。画像検査や腎生検が診断補助となる場合もある。
治療
- 第一選択:原因疾患の治療と降圧薬(ACE阻害薬・ARBなど)
- 補助療法:塩分制限、体重管理、利尿薬、適切な血圧管理
- 注意点:腎機能悪化時は薬剤調整、過度な降圧は腎灌流低下に注意
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 本態性高血圧 | 腎疾患の既往や腎機能障害がない | 腎機能正常、尿所見異常なし |
| 腎血管性高血圧 | 難治性高血圧+腎動脈狭窄音 | 腎動脈エコー・造影で狭窄確認 |
| 原発性アルドステロン症 | 低カリウム血症・アルドステロン高値 | 血漿レニン低値・アルドステロン高値 |
補足事項
腎実質性高血圧は慢性腎臓病の進行と密接に関連し、心血管イベントのリスク増加に注意が必要である。治療には腎機能の維持と合併症予防が重要となる。