脂肪肝
概要
脂肪肝は肝細胞に過剰な脂肪が蓄積する疾患で、アルコール摂取の有無によりアルコール性と非アルコール性に分類される。多くは無症状だが、進行すると肝炎や肝硬変のリスクとなる。生活習慣病や肥満、糖尿病との関連が強い。
要点
- 肝細胞内に脂肪が過剰に沈着する
- 生活習慣病や肥満と密接に関連
- 進行すると肝炎・肝硬変のリスク
病態・原因
過剰なエネルギー摂取やインスリン抵抗性、アルコール摂取などが原因となり、肝細胞内に中性脂肪が蓄積する。非アルコール性脂肪肝(NAFLD)は肥満、2型糖尿病、脂質異常症と強く関連し、アルコール性脂肪肝は過度の飲酒が主な原因である。
主症状・身体所見
多くは無症状で健康診断の血液検査や画像診断で偶然発見される。進行例では右季肋部痛や肝腫大がみられることがある。重症化すると倦怠感や黄疸、肝機能障害症状を呈することもある。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 腹部超音波検査 | 肝臓の高エコー化(bright liver) | 非侵襲的で診断の第一選択 |
| 血液生化学検査 | AST, ALT, γ-GTP上昇 | 他の肝疾患除外のためウイルス・自己免疫等も確認 |
| 腹部CT/MRI | 肝実質の低吸収域 | 脂肪沈着の程度評価に有用 |
画像診断と血液検査を組み合わせて診断する。診断基準は肝臓の脂肪沈着(肝細胞の5%以上)を認め、他の肝疾患を除外すること。肝生検が確定診断となるが、臨床的には非侵襲的検査が主流。
治療
- 第一選択:食事療法・運動療法による減量
- 補助療法:糖尿病や脂質異常症の管理、禁酒指導
- 注意点:進行例では肝炎・肝硬変への移行に注意
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 非アルコール性脂肪性肝炎 | 肝細胞障害・線維化の進行 | 肝生検で炎症・線維化所見 |
| アルコール性肝炎 | 明らかな飲酒歴、AST/ALT比>2 | γ-GTP高値、明確な飲酒歴 |
| ウイルス性肝炎 | ウイルスマーカー陽性、肝障害症状 | HBs抗原、HCV抗体陽性 |
補足事項
NAFLDは近年増加傾向にあり、メタボリックシンドローム患者では特に注意が必要。進行例では肝硬変や肝細胞癌のリスクが高まるため、定期的なフォローアップが重要である。