肩甲難産
概要
肩甲難産は分娩時に胎児の肩が母体の恥骨結合に嵌頓し、娩出困難となる産科的緊急事態である。主に児頭娩出後に発生し、母児ともに重篤な合併症を生じうる。発生頻度は全分娩の0.2〜3%程度とされる。
要点
- 児頭娩出後に肩が恥骨結合に嵌頓し娩出困難となる
- 母体・胎児ともに重大な合併症リスクがある
- 迅速な対応と適切な娩出手技が必要
病態・原因
肩甲難産は、胎児の肩幅が母体骨盤の前後径より大きい場合や、巨大児、糖尿病合併妊娠、遷延分娩などが主なリスク因子となる。児頭娩出後、前肩が恥骨結合に嵌頓し、通常の牽引では娩出できなくなる。
主症状・身体所見
児頭娩出後に肩が出てこず、分娩進行が停止する。カメ徴候(児頭が娩出後に引き戻される)が特徴的であり、分娩遅延や胎児心拍異常が認められることも多い。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 臨床診断 | 児頭娩出後に肩が出てこない | カメ徴候 |
| 超音波検査 | 巨大児・肩幅の広さの評価 | 分娩前リスク評価 |
肩甲難産は臨床的に診断され、児頭娩出後に肩の娩出が遅延することで判断される。画像診断は主にリスク評価目的で用いられる。
治療
- 第一選択:McRoberts手技・膀胱圧迫・Rubin手技など娩出手技
- 補助療法:会陰切開、母体体位変換、胎児肩の回旋操作
- 注意点:過度な牽引は胎児鎖骨骨折や腕神経叢麻痺のリスクあり
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 微弱陣痛 | 陣痛が弱く分娩進行が緩徐 | 子宮収縮異常 |
| 児頭骨盤不均衡 | 児頭が骨盤を通過できず進行停止 | 骨盤計測・超音波 |
補足事項
肩甲難産は発生時に迅速な判断と複数の手技の組み合わせが必要であり、分娩前のリスク評価とスタッフ間の連携が重要である。母体および児の予後改善のため、適切な分娩管理が求められる。