聾
概要
聾は聴覚が著しく低下または消失した状態を指し、音声言語の獲得やコミュニケーションに重大な障害をもたらす。先天性と後天性があり、原因や発症時期により分類される。聴覚障害の中でも最重度の状態を表す。
要点
- 聴覚の完全またはほぼ完全な消失状態
- 先天性・後天性、感音性・伝音性など多様な分類
- コミュニケーション・社会適応に大きな影響
病態・原因
聾の原因は多岐にわたり、内耳や聴神経の障害による感音性、外耳や中耳の障害による伝音性、または両者の混合型がある。先天性は遺伝子異常や周産期障害、後天性は感染症、薬物、外傷、加齢などが主な要因となる。
主症状・身体所見
主症状は音が全く聞こえない、または極めて小さくしか聞こえないこと。乳幼児では言語発達の遅れ、成人では会話困難や社会的孤立がみられる。身体所見は乏しく、他覚的には反応の消失が特徴となる。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 純音聴力検査 | 90dB以上の聴力低下 | 聾の重症度判定に必須 |
| 聴性脳幹反応 | 波形の消失または著明低下 | 客観的評価・鑑別に有用 |
| 耳鏡検査 | 異常所見なし/あり | 伝音性か感音性かの鑑別 |
診断は聴力検査で90dB以上の難聴を認めることで行う。聴性脳幹反応やOAE(耳音響放射)により客観的な評価も可能。画像検査で器質的異常の有無を確認する場合もある。
治療
- 第一選択:補聴器装用または人工内耳埋込術
- 補助療法:言語聴覚訓練、手話・筆談指導、心理的支援
- 注意点:早期介入と言語環境の整備が重要
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 難聴 | 部分的な聴力低下 | 聴力検査で程度の違い |
| 機能性難聴 | 器質的障害がない | 客観的検査は正常 |
| 中耳炎 | 耳痛や発熱、鼓膜所見あり | 耳鏡で中耳所見 |
補足事項
近年は新生児聴覚スクリーニングが普及し、早期発見・介入が推進されている。遺伝子診断や人工内耳技術の進歩により、聴覚リハビリテーションの選択肢が拡大している。