縦隔囊胞
概要
縦隔囊胞は縦隔内に発生する良性の囊胞性病変の総称で、先天性と後天性がある。多くは無症状だが、増大や感染により圧迫症状を呈することがある。気管支性囊胞、心膜囊胞、食道囊胞などが代表的である。
要点
- 縦隔内に発生する良性囊胞性病変
- 多くは無症状で偶発的に発見される
- 増大や感染で圧迫症状や炎症症状を呈する
病態・原因
縦隔囊胞は主に発生異常による先天性疾患であり、気管支や食道など発生過程の遺残組織から生じることが多い。後天性の場合は感染や外傷、炎症などが原因となることもある。
主症状・身体所見
多くは無症状だが、囊胞が大きくなると咳嗽、呼吸困難、胸痛、嚥下障害など縦隔臓器の圧迫症状を認める。感染や出血を伴うと発熱や急性の症状が出現することがある。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 胸部X線 | 縦隔の腫瘤影、境界明瞭な円形陰影 | 無症状時に偶発発見が多い |
| 胸部CT/MRI | 内容物は均一な低吸収域、壁は薄く造影効果乏しい | 囊胞性構造の評価に有用 |
| 超音波検査 | 均一な無エコー域、内部に隔壁や内容物を認めることも | 小児や表在病変で有用 |
CTやMRIで囊胞性病変の性状や周囲組織との関係を評価する。確定診断には画像所見が中心となり、必要に応じて組織診断や内容液の検査を行う。
治療
- 第一選択:外科的切除(症候性または増大傾向例)
- 補助療法:感染時には抗菌薬投与、経過観察(無症状・小型例)
- 注意点:穿刺排液のみは再発しやすいため注意
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 気管支性囊胞 | 気管支や肺門近傍に多い | CTで気道や肺門との連続性 |
| 心膜囊胞 | 心膜近傍、特に右心横隔角に多い | CTで心膜との境界明瞭 |
| 胚細胞腫瘍 | 若年者、腫瘍マーカー陽性 | 造影効果や石灰化の有無 |
補足事項
縦隔囊胞は成人発見例も多いが、小児では呼吸障害の原因となることがある。完全切除が原則であり、術前に感染合併の有無を評価することが重要である。