産褥熱

概要

産褥熱は分娩後に発症する感染症で、主に子宮や周囲組織の細菌感染により発熱を呈する。適切な抗菌薬治療が必要であり、重症例では敗血症に進展することもある。発症予防には衛生管理や早期の異常察知が重要となる。

要点

  • 分娩後24時間以降の発熱が特徴
  • 主な原因は子宮内感染や創部感染
  • 適切な抗菌薬治療が予後を左右する

病態・原因

産褥熱は分娩後の子宮や膣、会陰、手術創部などに細菌が侵入し感染を起こすことで発症する。主なリスク因子は難産、長時間分娩、破水の遷延、器械分娩、手術分娩、衛生状態不良などである。起因菌は連鎖球菌、ブドウ球菌、大腸菌など多様である。

主症状・身体所見

分娩後24時間以降に38℃以上の発熱が持続し、悪寒、下腹部痛、子宮復古不全、悪露の異常(増加・悪臭)などがみられる。重症化すると頻脈、血圧低下、意識障害、敗血症性ショックに進展する場合がある。

検査・診断

検査所見補足
血液検査白血球増加、CRP上昇感染の活動性評価
微生物検査悪露・血液・尿培養で起因菌検出抗菌薬選択のための感受性検査
画像検査骨盤部超音波で子宮内容物や膿瘍確認合併症や他部位感染の鑑別に有用

診断は分娩後24時間以降の発熱と感染徴候、培養検査、画像所見などを総合して行う。超音波検査で子宮内残留物や膿瘍形成を確認することが重要である。

治療

  • 第一選択:広域抗菌薬の静脈投与
  • 補助療法:子宮内容除去、輸液、解熱鎮痛薬
  • 注意点:重症例は集中治療管理、ショック・DICの早期対応

鑑別・比較

疾患見分けるキーポイント検査差異
子宮内膜炎悪露の異常・子宮圧痛超音波で子宮内膜肥厚
骨盤腹膜炎高熱・腹痛・反跳痛画像で骨盤腔内膿瘍や液体貯留
産褥乳腺炎乳房の発赤・腫脹・圧痛乳房超音波で膿瘍形成確認

補足事項

抗菌薬投与前の培養採取が重要である。抗菌薬不応例や重症例では外科的ドレナージやICU管理が必要となる場合がある。近年は多剤耐性菌にも注意が必要。

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