濾胞癌
概要
濾胞癌は甲状腺濾胞細胞由来の悪性腫瘍で、甲状腺癌の中では乳頭癌に次いで頻度が高い。血行性転移をきたしやすく、骨や肺などへの遠隔転移が特徴となる。比較的高齢女性に多く発症する。
要点
- 甲状腺濾胞細胞由来の悪性腫瘍
- 血行性転移(骨・肺)が多い
- 良性濾胞腺腫との鑑別が重要
病態・原因
濾胞癌は甲状腺濾胞上皮細胞の腫瘍性増殖により発症し、血行性に遠隔転移しやすい。高齢女性やヨウ素欠乏地域での発症が多い。遺伝的素因や放射線被曝もリスク因子となる。
主症状・身体所見
無痛性の甲状腺結節として発見されることが多く、進行例では頸部腫脹や嚥下障害、嗄声などがみられる。遠隔転移例では骨痛や呼吸困難が出現することもある。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 超音波検査 | 低エコー結節、内部血流増加 | 結節の大きさ・性状評価に有用 |
| 細胞診・組織診 | 被膜・血管浸潤の有無 | 良性濾胞腺腫との鑑別に必須 |
| 甲状腺シンチグラフィ | cold nodule | 機能低下結節として描出 |
組織学的に被膜・血管浸潤を認めることが診断の決め手となる。画像では悪性所見の有無や遠隔転移の評価も行う。
治療
- 第一選択:甲状腺全摘または亜全摘術
- 補助療法:放射性ヨウ素内用療法、TSH抑制療法
- 注意点:術後のカルシウム・甲状腺機能管理、遠隔転移例のフォローアップ
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 濾胞腺腫 | 被膜・血管浸潤なし | 組織診断で鑑別 |
| 乳頭癌 | 乳頭状構造、リンパ節転移多い | 細胞診で核異型・乳頭状配列 |
| 髄様癌 | カルシトニン高値、家族歴 | 免疫染色・遺伝子検査 |
補足事項
濾胞癌は遠隔転移例でも放射性ヨウ素治療が奏効することが多い。悪性度は被膜・血管浸潤の程度や転移の有無で決まる。診断には手術摘出標本の病理評価が不可欠である。