乳頭癌
概要
乳頭癌は甲状腺に発生する最も頻度の高い悪性腫瘍で、比較的予後が良好な分化型甲状腺癌である。リンパ節転移をきたしやすいが、遠隔転移は稀である。
要点
- 甲状腺癌の中で最も頻度が高い
- リンパ節転移を伴いやすいが予後は良好
- 超音波、細胞診での診断が重要
病態・原因
乳頭癌は甲状腺濾胞細胞由来の分化型癌であり、BRAF遺伝子変異などの遺伝的要因や、放射線被曝がリスク因子とされる。比較的ゆっくりと進行し、局所リンパ節へ転移しやすい。
主症状・身体所見
無症状で偶然発見されることが多いが、頸部のしこりやリンパ節腫脹として自覚される場合もある。進行例では嗄声、嚥下障害などの圧迫症状がみられることがある。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 超音波検査 | 低エコー、内部石灰化、境界不明瞭な結節 | 初期スクリーニングに有用 |
| 穿刺吸引細胞診 | 癌細胞の核溝・核内封入体 | 確定診断のための標準検査 |
| 血中サイログロブリン | 高値となることがある | 術後再発のモニタリングにも使用 |
超音波検査で悪性を疑う所見があれば、穿刺吸引細胞診を行い診断する。CTやMRIは進展度評価や遠隔転移検索に用いる。
治療
- 第一選択:甲状腺全摘または葉切除+リンパ節郭清
- 補助療法:放射性ヨウ素内用療法、TSH抑制療法
- 注意点:術後の甲状腺機能低下、再発モニタリング
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 濾胞癌 | 血行性転移が多く、リンパ節転移少 | 病理で被膜・血管浸潤 |
| 髄様癌 | カルシトニン高値、家族歴 | 血中カルシトニン測定 |
| 未分化癌 | 進行が速く予後不良、硬い腫瘤 | 細胞診で未分化細胞像 |
補足事項
乳頭癌は予後が非常に良好で、10年生存率は90%を超える。若年者ほど予後が良い傾向があり、術後は再発監視が重要である。