成長ホルモン分泌不全性低身長症
概要
成長ホルモン分泌不全性低身長症は、下垂体からの成長ホルモン分泌が不十分なために発育障害をきたす疾患。主に小児期に発症し、低身長や成長遅延が特徴となる。先天性・後天性の原因があり、早期診断と治療が重要である。
要点
- 下垂体の成長ホルモン分泌障害が主因
- 小児期の著明な低身長・成長遅延を呈する
- 成長ホルモン補充療法が有効
病態・原因
下垂体前葉からの成長ホルモン(GH)分泌が先天的または後天的に障害されることで発症する。原因は遺伝子異常、器質的異常、腫瘍、外傷、炎症、放射線治療後などがある。視床下部-下垂体系の障害が背景に存在する場合も多い。
主症状・身体所見
主な症状は成長障害による低身長で、成長曲線の著明な逸脱がみられる。骨年齢の遅れ、顔貌の幼児様化、脂肪沈着、四肢の細さなどが特徴的。思春期遅発や筋力低下を伴うこともある。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 成長ホルモン分泌刺激試験 | GH分泌反応低下 | 複数回の刺激試験で低値を確認 |
| IGF-1・IGFBP-3測定 | 低値 | GH分泌低下の間接指標 |
| 骨年齢測定 | 骨年齢遅延 | 手根骨X線による |
診断はGH分泌刺激試験で基準値未満のGH反応を確認し、他の原因疾患(甲状腺機能低下症、慢性疾患など)を除外する。MRIで下垂体・視床下部の形態異常や腫瘍の有無も評価する。
治療
- 第一選択:ヒト成長ホルモン補充療法(皮下注射)
- 補助療法:適切な栄養管理・定期的な成長モニタリング
- 注意点:骨端線閉鎖後は治療効果が低下、腫瘍性病変の除外が必須
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 甲状腺機能低下症 | 甲状腺腫・便秘・徐脈 | TSH・FT4異常 |
| Turner症候群 | 女児・翼状頸・外反肘 | 染色体検査で45,X |
| 慢性栄養障害 | 摂食歴・社会背景 | GH刺激試験は正常 |
補足事項
早期発見・早期治療が将来的な身長予後を大きく左右する。成人期にもGH補充が必要な場合は、QOLや代謝改善のため継続投与を考慮する。