慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー
概要
慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー(CIDP)は、末梢神経の炎症と脱髄を特徴とする自己免疫性の神経疾患。進行性または再発性の四肢筋力低下と感覚障害を主徴とする。ギラン・バレー症候群の慢性型と位置付けられる。
要点
- 進行性または再発性の四肢筋力低下と感覚障害が特徴
- 末梢神経の脱髄性障害が主病態
- 免疫療法への反応性が高い
病態・原因
自己免疫機序により末梢神経の髄鞘が障害されることで発症する。T細胞や抗体による炎症反応が神経線維の脱髄を引き起こす。発症原因は不明だが、感染や遺伝的素因が関与する可能性が示唆されている。
主症状・身体所見
四肢の筋力低下、しびれ、感覚障害、腱反射の減弱・消失がみられる。進行は数週間から数ヶ月かけて徐々に進行することが多く、左右対称性である。顔面神経や呼吸筋の障害はまれ。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 神経伝導検査 | 脱髄性変化(伝導速度低下、ブロック) | 末梢神経の脱髄を示唆する所見 |
| 脳脊髄液検査 | タンパク上昇、細胞数正常(蛋白細胞解離) | 炎症性脱髄疾患に特徴的 |
| MRI(脊髄神経根) | 神経根の肥厚、造影効果 | 必須ではないが診断補助となる |
診断は臨床症状、神経伝導検査による脱髄所見、脳脊髄液所見を組み合わせて行う。診断基準はEFNS/PNS基準などが用いられる。
治療
- 第一選択:ステロイド、免疫グロブリン大量静注療法(IVIg)、血漿交換療法
- 補助療法:リハビリテーション、理学療法
- 注意点:感染症リスクや再発への経過観察
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| Guillain-Barré症候群 | 急性発症、進行が急速 | 急性経過、同様の脱髄所見 |
| 糖尿病性ニューロパチー | 糖尿病既往、対称性感覚障害中心 | 脱髄より軸索障害が主体 |
| 多発性硬化症 | 中枢神経障害、寛解再発型 | 脳・脊髄MRIで中枢病変 |
補足事項
小児から高齢者まで幅広い年齢層で発症する。治療反応性は良好だが、再発や慢性経過をたどる例も多い。早期診断と治療開始が予後改善に重要である。