性同一性障害
概要
性同一性障害は、生物学的な性別と自己が認識する性別(性自認)が一致しないことにより、強い違和感や苦痛を生じる精神疾患である。性別違和(gender dysphoria)とも呼ばれ、社会的・医学的なサポートが必要となる場合が多い。
要点
- 生物学的性と性自認の不一致が主徴
- 精神的苦痛や社会的適応困難を伴う
- 多職種による包括的支援が重要
病態・原因
性同一性障害の発症には、遺伝的要素や胎生期のホルモン環境、脳の性分化の影響などが関与すると考えられているが、明確な原因は特定されていない。心理社会的要因も複雑に関与する。
主症状・身体所見
自らの身体的性別に強い違和感や拒否感を持ち、反対の性別として生きたいという強い願望が現れる。思春期以降に社会的・職業的適応困難やうつ症状、不安症状を伴うことがある。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 精神科面接 | 性自認と身体的性別の不一致 | DSM-5の診断基準に基づく評価 |
| 心理検査 | 性役割や性自認の評価 | MMPIや性別適応尺度など |
診断は主に精神科面接や心理検査による。DSM-5では「性別違和」として診断基準が定められており、持続的な性別不一致とそれに伴う苦痛や機能障害が重要視される。
治療
- 第一選択:精神的サポートと心理社会的支援
- 補助療法:ホルモン療法や性別適合手術(本人の希望と適応による)
- 注意点:治療は多職種連携で行い、本人の自己決定権を尊重する
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 性分化疾患 | 染色体・性腺異常を伴う | 染色体・ホルモン検査で判別 |
| 統合失調症 | 妄想や幻覚など他の精神症状を伴う | 精神症状の全体像・経過で鑑別 |
補足事項
性同一性障害は社会的スティグマや家族・職場での支援の有無が予後に大きく影響する。近年では性別違和(gender dysphoria)という用語が国際的に主流となりつつある。