急性間欠性ポルフィリン症
概要
急性間欠性ポルフィリン症は、ヘム生合成経路の酵素欠損によりポルフィリン前駆体が蓄積し、主に神経症状や腹痛発作を繰り返す遺伝性疾患。発作は薬剤、感染、ホルモン変動などの誘因で生じることが多い。急性発作時は重篤な神経障害や精神症状を呈することがある。
要点
- ヘム合成酵素(PBGデアミナーゼ)欠損によるポルフィリン代謝異常
- 腹痛・精神症状・末梢神経障害など多彩な発作症状
- 発作誘因の回避とヘミン投与が治療の中心
病態・原因
常染色体優性遺伝により、ヘム合成経路のPBGデアミナーゼ活性が低下し、アミノレブリン酸(ALA)やポルフォビリノーゲン(PBG)が体内に蓄積する。発作は薬剤(バルビツール酸系、経口避妊薬など)、絶食、感染、ストレスなどにより誘発されやすい。
主症状・身体所見
急性発作時には激しい腹痛、嘔気、嘔吐、便秘などの消化器症状が現れる。さらに精神症状(錯乱、幻覚、不安)、末梢神経障害(四肢脱力、感覚障害)、自律神経症状(頻脈、高血圧)、尿が赤色になることも特徴的である。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 尿中ALA・PBG定量 | 著明な上昇 | 発作時に特に高値 |
| 尿色 | 赤色尿 | 日光曝露で色調増強 |
| 遺伝子検査 | PBGデアミナーゼ遺伝子変異 | 確定診断に有用 |
尿中ALA・PBGの著明な上昇が診断の決め手となる。発作時に採尿することが重要。遺伝子検査で責任遺伝子変異を同定できる。画像検査は主に他疾患の除外目的で行われる。
治療
- 第一選択:ヘミン静注によるヘム補充療法
- 補助療法:ブドウ糖静注、支持療法(鎮痛、制吐、精神症状管理)
- 注意点:発作誘因となる薬剤や絶食の回避、早期治療開始
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 晩発性皮膚ポルフィリン症 | 皮膚脆弱性・光線過敏 | 尿中ALA・PBGは上昇しない |
| Guillain-Barré症候群 | 急性進行性四肢麻痺 | 髄液蛋白上昇・尿所見陰性 |
補足事項
発作時は適切な鎮痛薬の選択や禁忌薬の回避が重要。女性では月経周期との関連もある。慢性期の管理や家族歴の聴取も推奨される。