急性硬膜外血腫

概要

急性硬膜外血腫は頭部外傷により硬膜と頭蓋骨内板の間に血腫が急速に形成される疾患。主に動脈性出血(多くは中硬膜動脈損傷)によって発症し、迅速な診断と治療が予後を大きく左右する。意識清明期を経て急速に意識障害が進行することが特徴である。

要点

  • 頭部外傷後の意識清明期とその後の急速な意識障害が特徴
  • 中硬膜動脈損傷による動脈性出血が主な原因
  • 迅速な画像診断と外科的治療が生命予後を決定する

病態・原因

頭部外傷により頭蓋骨骨折を伴って中硬膜動脈や静脈が損傷され、硬膜と頭蓋骨内板の間に急速に血液が貯留する。主に若年成人に多く、外傷の衝撃が直接骨を介して血管に伝わることが発症のリスクとなる。

主症状・身体所見

典型的には頭部打撲後、一時的に意識が清明となる「ルーシッドインターバル」を経て、頭痛、嘔吐、片麻痺、意識障害が急速に進行する。瞳孔不同や対側の運動麻痺も重要な所見である。

検査・診断

検査所見補足
頭部CT凸レンズ状(両凸型)高吸収域硬膜外に限局し縫合線を越えない
頭部X線頭蓋骨骨折中硬膜動脈溝付近に多い

CTでの凸レンズ状血腫像が診断の決め手となる。臨床では外傷歴と意識障害の経過、神経学的所見の組み合わせが重要。MRIは急性期にはCTに劣る。診断基準は画像所見と臨床経過の一致による。

治療

  • 第一選択:迅速な外科的血腫除去術(穿頭血腫除去または開頭血腫除去)
  • 補助療法:全身管理、脳圧亢進予防、適切な輸液・呼吸管理
  • 注意点:治療遅延による予後不良、再発や感染症のリスク管理

鑑別・比較

疾患見分けるキーポイント検査差異
急性硬膜下血腫Crescent型血腫、意識清明期が少ないCTで三日月型血腫、縫合線を越える
脳挫傷局所神経症状が目立つCTで脳実質内の混濁した高吸収域

補足事項

小児や高齢者では症状が非典型的なことがある。発症から治療までの時間が短いほど予後良好となる。救急現場での迅速な対応と搬送体制の整備が重要。

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