急性涙囊炎
概要
急性涙囊炎は、涙囊(涙嚢)に急性の炎症が生じる疾患で、主に鼻涙管閉塞により涙囊内に細菌感染が起こることで発症する。眼内角部の発赤・腫脹・疼痛が特徴で、発熱を伴うこともある。適切な抗菌薬治療と排膿が重要となる。
要点
- 鼻涙管閉塞を背景に涙囊に細菌感染が生じる
- 眼内角部の発赤・腫脹・圧痛が主症状
- 抗菌薬投与と切開排膿が治療の中心
病態・原因
鼻涙管閉塞や先天的な狭窄などが基礎にあり、涙液のうっ滞によって涙囊内に細菌(主に黄色ブドウ球菌や連鎖球菌)が感染して炎症が生じる。免疫低下や慢性涙囊炎からの移行もリスクとなる。
主症状・身体所見
眼内角部の発赤・腫脹・圧痛が顕著で、腫脹部位を圧迫すると膿性分泌物が涙点から排出されることがある。発熱や全身倦怠感を伴うこともある。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 視診・触診 | 眼内角部の発赤・腫脹・圧痛 | 典型的な局所所見 |
| 涙囊部圧迫試験 | 膿性分泌物の排出 | 涙点から膿が出れば診断的 |
| 細菌培養 | 膿から起炎菌の同定 | 抗菌薬選択の参考 |
診断は典型的な局所所見と病歴から行う。涙囊部の超音波検査やCTで膿瘍形成や周囲組織への波及を評価することもある。
治療
- 第一選択:抗菌薬投与(主にセフェム系、ペニシリン系など)
- 補助療法:切開排膿、温罨法、鎮痛薬の使用
- 注意点:膿瘍形成時は速やかな切開排膿、再発例では根治手術(涙嚢鼻腔吻合術)を検討
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 慢性涙囊炎 | 腫脹・発赤が少なく慢性経過 | 圧痛・発赤が軽度 |
| 蜂窩織炎 | 眼窩周囲全体の腫脹・発赤 | 広範な皮膚・皮下組織炎症 |
| 麦粒腫 | 眼瞼の限局性腫脹・発赤 | 眼瞼部に限局 |
補足事項
乳幼児や高齢者に多くみられ、適切な治療を行わないと周囲組織への波及や眼窩蜂窩織炎など重篤な合併症を生じることがある。再発例では涙嚢鼻腔吻合術など根治的外科治療が必要となる。