子宮性無月経
概要
子宮性無月経は、子宮自体の器質的異常や機能障害により月経が発来しない状態を指す。視床下部や下垂体、卵巣など上位中枢や性腺に原因がないことが特徴で、先天性・後天性の子宮疾患が主な原因となる。治療や管理には原因疾患の同定が重要となる。
要点
- 子宮の器質的異常や癒着が主な原因
- 二次性徴やホルモン値は正常であることが多い
- 原因疾患の除外・鑑別診断が不可欠
病態・原因
子宮性無月経は、子宮の先天性欠損(ロキタンスキー症候群など)や、子宮内膜の癒着(アッシャーマン症候群)、子宮腔閉鎖、重度の子宮内膜炎などにより発症する。卵巣機能や内分泌系は正常であるが、子宮の機能的または構造的障害が月経の発来を阻害する。
主症状・身体所見
主な症状は無月経で、初経がない原発性無月経または正常月経の消失で発症する続発性無月経がある。二次性徴は発現していることが多く、下腹部痛や周期的な症状を伴う場合もある。診察では子宮の形態異常や腟短縮などが認められることがある。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 骨盤超音波検査 | 子宮の形態異常、内膜癒着、欠損の確認 | 非侵襲的・初期評価に有用 |
| MRI | 子宮構造異常や癒着の詳細な評価 | 詳細な解剖学的情報が得られる |
| 子宮鏡検査 | 子宮腔内癒着や閉鎖の直接観察 | 診断と同時に治療も可能 |
骨盤超音波やMRIで子宮の器質的異常を確認し、必要に応じて子宮鏡検査を行う。ホルモン検査ではエストロゲン・FSH・LH値は正常範囲であることが多い。診断には視床下部・下垂体・卵巣性無月経との鑑別が重要。
治療
- 第一選択:原因疾患に対する外科的治療(子宮内癒着剥離術など)
- 補助療法:ホルモン補充療法、周期的エストロゲン・プロゲステロン投与
- 注意点:再発防止のため術後の癒着予防や定期的なフォローが必要
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 視床下部性無月経 | ストレス・体重減少・運動歴 | FSH・LH低値、子宮・卵巣正常 |
| 卵巣性無月経 | 二次性徴の未発達、FSH高値 | 卵巣機能不全、子宮正常 |
| 子宮内膜炎 | 月経異常に加え下腹部痛や発熱 | 超音波で子宮内膜肥厚・炎症像 |
補足事項
子宮性無月経は不妊症の原因にもなりうるため、早期診断と適切な治療介入が重要となる。アッシャーマン症候群などの治療後も再発リスクがあるため、定期的な経過観察が推奨される。