失認
概要
失認は、感覚器自体に異常がないにもかかわらず、対象物の認識が障害される高次脳機能障害である。主に大脳皮質の損傷によって生じ、視覚・聴覚・身体認知など様々な型が存在する。日常生活機能やリハビリテーションに大きな影響を及ぼす。
要点
- 感覚器の障害がないにもかかわらず認識不能となる
- 大脳皮質(特に頭頂葉や側頭葉)の損傷が主な原因
- 視覚失認・聴覚失認・身体失認など多様な型がある
病態・原因
失認は、脳卒中や外傷、脳腫瘍、変性疾患などによる大脳皮質の限局性損傷が原因となる。特に頭頂葉、側頭葉、後頭葉の連合野の障害が関与し、情報統合の障害により認知が困難となる。
主症状・身体所見
視覚失認では物体や顔の認識障害、聴覚失認では言葉や環境音の認識障害が生じる。また、身体失認(身体部位の認識障害)や半側空間無視などもみられる。言語や知能は比較的保たれることが多い。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 神経心理学的検査 | 失認の型に応じた認知障害 | 視覚失認テスト・聴覚失認テストなど |
| 脳画像検査(MRI, CT) | 大脳皮質の限局性損傷 | 頭頂葉・側頭葉・後頭葉の病変を確認 |
神経心理学的検査で失認の型を評価し、脳画像で責任病変部位を特定する。失語や失行、認知症との鑑別も重要である。
治療
- 第一選択:リハビリテーションによる認知訓練
- 補助療法:作業療法・言語療法・家族教育
- 注意点:合併する高次脳機能障害や認知症の管理
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 失語 | 言語理解・表出の障害 | 失語症検査で明確化 |
| 失行 | 運動プログラムの障害 | 運動模倣・道具使用テスト |
| 認知症 | 記憶・全般的知能低下 | MMSE等で全般的認知機能低下 |
補足事項
失認は高次脳機能障害の一つであり、症状の型や重症度によって日常生活への影響が大きく異なる。早期発見と多職種連携による包括的リハビリテーションが重要である。