前頭側頭型認知症
概要
前頭側頭型認知症は、前頭葉および側頭葉の神経細胞変性を主体とする進行性認知症である。人格変化や行動異常、言語障害が特徴的で、比較的若年発症が多い。アルツハイマー型認知症とは臨床像や進行様式が異なる。
要点
- 人格変化や脱抑制などの行動異常が初発症状となりやすい
- 言語障害や遂行機能障害が目立つが、記憶障害は初期には軽度
- 前頭葉・側頭葉の萎縮が画像で明瞭に認められる
病態・原因
前頭葉・側頭葉の神経細胞脱落とグリア細胞増殖が主体で、タウ蛋白やTDP-43などの異常蛋白蓄積が関与する。家族性発症もあり、遺伝子異常(MAPT, GRN, C9orf72など)が報告されている。
主症状・身体所見
初期には脱抑制、常同行動、社会的ルール逸脱などの行動異常が目立つ。進行すると言語障害(失語)、遂行機能障害、無関心、感情鈍麻などが加わる。記憶障害は初期には目立たない。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 頭部MRI | 前頭葉・側頭葉の左右非対称性萎縮 | FLAIRやT1強調像で萎縮が明瞭 |
| SPECT/PET | 前頭葉・側頭葉の血流低下 | 早期診断やアルツハイマー型との鑑別に有用 |
診断は国際診断基準(Neary基準、Rascovsky基準等)に基づき、臨床症状・行動変化・画像所見を統合して行う。画像では左右非対称性の前頭葉・側頭葉萎縮が特徴的である。
治療
- 第一選択:根本的治療法はなく、症状に応じた対症療法
- 補助療法:抗精神病薬や選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)などの投与
- 注意点:薬剤の副作用に注意し、介護者支援や環境調整も重要
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| Alzheimer型認知症 | 記憶障害が初発、行動異常は後期 | MRIで海馬萎縮が目立つ |
| Lewy小体型認知症 | 幻視やパーキンソニズムが特徴 | SPECTで後頭葉血流低下 |
| 脳血管性認知症 | 小刻みな進行、局所神経症状を伴う | MRIで多発脳梗塞巣 |
補足事項
進行が比較的速く、家族・介護者の負担が大きい。遺伝性症例では家族歴の聴取も重要である。新たな疾患修飾薬の開発が期待されている。