先天性副腎皮質過形成
概要
先天性副腎皮質過形成は、副腎皮質酵素の先天的な欠損によりステロイドホルモンの合成障害を来す遺伝性疾患である。最も頻度が高いのは21-ヒドロキシラーゼ欠損症で、塩喪失型や単純男性化型など臨床型が存在する。出生直後からの重篤な症状や性分化異常を呈することがある。
要点
- 副腎皮質ホルモン(コルチゾール・アルドステロン)合成障害
- 男性化や塩喪失など多彩な臨床型
- 新生児期から乳児期に発症しやすい
病態・原因
主に21-ヒドロキシラーゼなど副腎皮質酵素の遺伝的欠損により、コルチゾールやアルドステロンの産生が障害される。コルチゾール低下によるACTHの過剰分泌で副腎皮質が過形成となり、副腎アンドロゲン過剰や塩喪失が生じる。常染色体劣性遺伝形式をとる。
主症状・身体所見
塩喪失型では嘔吐、脱水、体重減少、低血圧、ショックなどの急性副腎不全症状がみられる。アンドロゲン過剰により女児では外性器男性化、男児では思春期早発や陰茎肥大がみられる。軽症例では思春期早発や多毛、無月経も認める。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 血中17-OHP | 著明な上昇 | 21-ヒドロキシラーゼ欠損で特異的 |
| 電解質(Na/K) | 低ナトリウム血症・高カリウム血症 | 塩喪失型で典型的 |
| ACTH・コルチゾール | ACTH高値・コルチゾール低値 | 代償性ACTH上昇 |
| 遺伝子検査 | CYP21A2遺伝子変異の同定 | 診断確定に有用 |
新生児マススクリーニングで17-OHPの上昇が検出される。診断にはホルモン値の測定と遺伝子解析が有用。腹部エコーで副腎の腫大を認めることがある。
治療
- 第一選択:ヒドロコルチゾンなどグルココルチコイド補充
- 補助療法:必要に応じてミネラルコルチコイド、食塩補給
- 注意点:感染・ストレス時の増量、定期的な成長・発達のモニタリング
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| Addison病 | 後天性、色素沈着が顕著、アンドロゲン症状なし | 17-OHP正常、抗副腎抗体陽性 |
| 二次性副腎皮質機能低下症 | 下垂体異常、ACTH低値、色素沈着なし | ACTH低値、電解質異常は軽度 |
| アンドロゲン不応症 | 染色体46,XYで女性外性器、アンドロゲン作用なし | テストステロン高値、17-OHP正常 |
補足事項
早期診断・治療が予後改善に重要であり、新生児スクリーニングの普及により診断率が向上している。性分化異常に対しては専門的なカウンセリング・外科的対応も検討される。