伝染性単核症
概要
伝染性単核症は、主にエプスタイン・バーウイルス(EBV)感染によって発症する急性感染症である。発熱、咽頭痛、リンパ節腫脹を三徴とし、思春期や若年成人に多い。多くは自然軽快するが、まれに合併症を伴う。
要点
- EBウイルスが主な原因で唾液を介して感染
- 発熱・咽頭痛・リンパ節腫脹が三主徴
- 肝脾腫や血液異常も認められる
病態・原因
主にEBウイルスによるBリンパ球への感染が原因となる。ウイルスは唾液を介して伝播し、感染リンパ球の増殖や免疫応答により全身症状を呈する。若年者に多く、稀にサイトメガロウイルスなど他のウイルスも原因となる。
主症状・身体所見
発熱、咽頭痛、頸部リンパ節腫脹が典型的である。加えて、全身倦怠感、肝脾腫、発疹がみられることもある。血液検査では異型リンパ球の増加が特徴的である。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 血液検査 | 白血球増加・異型リンパ球増加 | 末梢血で10%以上が目安 |
| 血清学的検査 | 抗EBV抗体(VCA-IgM陽性、EBNA陰性など) | 急性期診断に有用 |
| 肝機能検査 | AST/ALT上昇 | 肝障害を伴う場合がある |
異型リンパ球の増多とEBウイルス抗体価上昇が診断の決め手となる。肝脾腫や咽頭所見、リンパ節腫脹も診断の参考となる。まれに腹部超音波で脾腫を確認することもある。
治療
- 第一選択:対症療法(安静、解熱鎮痛薬、十分な水分補給)
- 補助療法:重症例や合併症例では副腎皮質ステロイド投与を考慮
- 注意点:脾腫例では腹部外傷を避ける(脾破裂予防)
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 急性咽頭炎 | 咽頭痛主体でリンパ節腫脹は軽度 | 異型リンパ球増加なし |
| 急性白血病 | 発熱・リンパ節腫脹・肝脾腫あり | 骨髄検査で芽球増加 |
| サイトメガロウイルス感染症 | 類似症状だがEBV抗体陰性 | CMV抗体陽性 |
補足事項
多くは自然軽快するが、脾破裂や重篤な肝障害、神経合併症に注意が必要。抗菌薬投与により発疹が増悪することがあるため、安易な抗菌薬投与は避ける。