亜急性硬化性全脳炎

概要

亜急性硬化性全脳炎(SSPE)は、麻疹ウイルスの遷延感染により発症する進行性の中枢神経疾患である。主に小児から若年成人に発症し、認知機能低下や運動障害を特徴とし、予後は不良である。発症から数年で死に至ることが多い。

要点

  • 麻疹ウイルスの遷延感染による進行性脳炎
  • 認知障害やミオクローヌスなど多彩な神経症状
  • 治療法は限られ、予後は極めて不良

病態・原因

麻疹ウイルスが中枢神経系に持続感染し、数年の潜伏期間を経て発症する。ウイルスの遺伝子異常や宿主免疫応答の異常が関与し、脳全体の神経細胞に炎症・脱髄・硬化が進行する。

主症状・身体所見

初期は性格変化や学業成績低下など認知機能障害が現れ、進行するとミオクローヌス、痙攣、運動失調、視力障害、昏睡へと至る。錐体外路症状や失語もみられる。

検査・診断

検査所見補足
脳波周期性同期性放電(PSD)典型的で診断的価値が高い
髄液検査γグロブリン増加、抗麻疹抗体価上昇髄液中の麻疹抗体価が特に重要
MRI白質の高信号病変、びまん性萎縮脱髄性変化を反映

診断は臨床症状、特徴的な脳波所見、髄液中麻疹抗体価上昇、画像所見を総合して行う。確定診断には髄液または血清の抗麻疹抗体価上昇が不可欠。

治療

  • 第一選択:特異的治療はなく、イノシンプラノベクスやインターフェロン療法が試みられる
  • 補助療法:抗てんかん薬、対症療法、リハビリテーション
  • 注意点:早期診断・治療でも進行抑制は限定的、家族への心理的ケアも重要

鑑別・比較

疾患見分けるキーポイント検査差異
Creutzfeldt-Jakob病進行がより急速、プリオン病歴脳波で鋭波、髄液14-3-3蛋白陽性
急性散在性脳脊髄炎急性発症、ワクチンや感染後に出現MRIで多発性病変、髄液細胞増多
Alzheimer型認知症高齢発症、進行は緩徐MRIで海馬萎縮、髄液Aβ・タウ蛋白

補足事項

麻疹ワクチンによる予防が極めて重要であり、ワクチン未接種者に多く発症する。発症後の治療効果は限定的であり、社会的支援や家族ケア体制の整備も課題となる。

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