下痢
概要
下痢は、通常よりも頻回で水分の多い便が排泄される状態を指す。感染性、炎症性、薬剤性など多様な原因があり、急性と慢性に分類される。脱水や電解質異常を来すことがあるため、重症例では注意が必要。
要点
- 原因は感染症や炎症性腸疾患、薬剤性など多岐にわたる
- 急性と慢性で鑑別疾患や対応が異なる
- 脱水・電解質異常の管理が重症例で重要
病態・原因
下痢は腸管の水分吸収障害や分泌亢進によって発生する。代表的な原因にはウイルス・細菌・寄生虫などによる感染、炎症性腸疾患、薬剤(抗生物質、下剤など)、消化吸収障害が挙げられる。ストレスや過敏性腸症候群も誘因となる。
主症状・身体所見
主な症状は水様性または軟便の頻回排泄で、腹痛や腹部不快感、発熱、悪心・嘔吐を伴うことがある。脱水症状(口渇、皮膚の乾燥、乏尿)や体重減少、重症例ではショックに至ることもある。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 便検査 | 白血球・赤血球・病原体の有無 | 感染性下痢の鑑別 |
| 血液検査 | 電解質異常、腎機能低下、炎症反応 | 脱水・重症度評価 |
| 腹部画像検査 | 腸管の拡張、壁肥厚、炎症所見 | 慢性・重症例で施行 |
便培養やウイルス抗原検査による病原体同定が診断の助けとなる。慢性例や血便を伴う場合は大腸内視鏡検査なども考慮する。
治療
- 第一選択:原因除去と輸液による脱水補正
- 補助療法:整腸剤、止瀉薬(非感染性)、対症療法
- 注意点:感染性下痢では止瀉薬の使用に注意、重症例は入院管理
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 感染性腸炎 | 発熱・急性発症・流行状況 | 便培養で病原体検出 |
| 過敏性腸症候群 | 慢性経過・ストレス関連 | 器質的異常なし |
| 潰瘍性大腸炎 | 血便・慢性経過・粘血便 | 大腸内視鏡でびらん・潰瘍 |
補足事項
下痢は原因疾患により対応が異なるため、問診や疫学的情報、合併症の有無の評価が重要。特に高齢者や小児では脱水に注意し、早期の輸液管理が推奨される。