下咽頭癌
概要
下咽頭癌は下咽頭(喉頭の下方〜食道入口部)に発生する悪性腫瘍で、頭頸部癌の中でも発見時に進行していることが多い。主な危険因子は喫煙・飲酒であり、嚥下障害や嗄声、頸部リンパ節腫脹などで発症する。
要点
- 進行が早く、発見時に進行癌が多い
- 喫煙・飲酒が主なリスク因子
- 嚥下障害、嗄声、頸部リンパ節腫脹が主要症状
病態・原因
下咽頭の粘膜上皮から発生する扁平上皮癌がほとんどを占める。喫煙や大量飲酒が主要なリスク因子であり、これらの習慣を持つ中高年男性に多い。早期は無症状だが、進行すると周囲組織やリンパ節へ浸潤・転移しやすい。
主症状・身体所見
嚥下時痛や嚥下困難、嗄声、咽頭異物感が初発症状として多い。進行例では頸部リンパ節腫脹や呼吸困難、体重減少などを認める。出血や耳への放散痛もみられることがある。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 喉頭ファイバースコピー | 腫瘍性病変、潰瘍、発赤、出血 | 直接観察・生検可能 |
| CT/MRI | 腫瘍の広がり、リンパ節転移、深達度の評価 | 病期決定・治療方針に重要 |
| 生検 | 扁平上皮癌の組織学的診断 | 確定診断 |
診断は内視鏡による観察と生検による病理組織診断が必須。CTやMRIで腫瘍の範囲やリンパ節転移、他臓器浸潤を評価し、TNM分類に基づき病期を決定する。
治療
- 第一選択:手術(咽頭喉頭全摘術など)または放射線治療
- 補助療法:化学療法(シスプラチン系など)、支持療法
- 注意点:嚥下・発声機能の温存、早期発見・治療後の再発監視
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 食道癌 | 嚥下困難優位、食道造影で異常 | 内視鏡で原発部位区別 |
| 喉頭癌 | 嗄声が初発、声帯領域が主座 | 喉頭内視鏡所見 |
| 中咽頭癌 | 口蓋扁桃や舌根の腫瘍 | 部位・生検で鑑別 |
補足事項
早期発見が困難なため、進行癌での診断が多い。嚥下・発声機能の温存とQOL維持が治療の大きな課題。喫煙・飲酒歴のある患者では定期的な咽頭内視鏡検査が推奨される。