三叉神経痛
概要
三叉神経痛は、三叉神経領域に発作的な激しい顔面痛を生じる末梢神経疾患である。典型的には顔の片側に電撃痛が数秒〜数分間持続し、日常生活動作で誘発されることが多い。高齢者に多く、生活の質を著しく低下させる。
要点
- 顔面の一側に突発的な激痛発作を繰り返す
- 神経血管圧迫や腫瘍などが原因となることが多い
- 薬物治療が第一選択だが難治例は手術も検討
病態・原因
主な原因は三叉神経根部への血管(多くは上小脳動脈)による圧迫で、神経の脱髄が生じ異常興奮が発生する。まれに腫瘍や多発性硬化症などの器質的疾患でも起こる。リスク因子として高齢、動脈硬化が挙げられる。
主症状・身体所見
顔面の片側、特に上顎・下顎領域に数秒から数分間持続する激しい発作性疼痛を認める。疼痛は会話、咀嚼、洗顔などの軽微な刺激で誘発される。神経学的異常所見は通常みられないが、持続痛や感覚障害があれば二次性を疑う。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| MRI | 神経血管圧迫や腫瘍性病変の有無 | 原因検索のため必須 |
| 神経学的診察 | 感覚障害や運動障害の有無を評価 | 二次性の場合は異常所見 |
| 頭部CT | 腫瘍・脳病変の除外 | MRI施行困難時に代用 |
典型的な発作性顔面痛と誘発因子の存在で診断されるが、MRIで腫瘍や血管圧迫等の器質的疾患を除外することが重要。神経学的異常所見があれば二次性三叉神経痛を考慮する。
治療
- 第一選択:カルバマゼピンなど抗てんかん薬の内服
- 補助療法:ガバペンチン、プレガバリン、理学療法
- 注意点:薬剤副作用や難治例では神経血管減圧術やガンマナイフ治療を検討
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 群発頭痛 | 眼窩・側頭部の激痛、涙・鼻汁伴う | MRIで異常なし |
| 舌咽神経痛 | 咽頭・耳介・舌後方の発作性疼痛 | 神経学的診察・MRI |
| 歯性疼痛 | 歯の局所圧痛・齲歯や歯周病の既往 | 歯科的診察で明らか |
補足事項
高齢者や腎機能障害患者では薬剤副作用に注意が必要。治療抵抗例や二次性の疑いがある場合は専門医紹介を考慮する。再発例では追加画像検査や他疾患の鑑別も重要となる。