一過性脳虚血発作
概要
一過性脳虚血発作(TIA)は、脳や網膜への一過性の血流障害により、局所神経症状が24時間以内に完全に消失する病態である。脳梗塞の前兆となることが多く、早期診断と治療が重要である。
要点
- 局所神経症状が一過性で完全に回復する
- 脳梗塞の危険因子として極めて重要
- 早期の評価・治療が予後改善に直結
病態・原因
主に動脈硬化による血管狭窄や心原性塞栓により、脳や網膜への一時的な血流低下が生じる。高血圧、糖尿病、心房細動、脂質異常症などがリスク因子となる。
主症状・身体所見
半身の脱力やしびれ、構音障害、失語、視野障害など発症部位に応じた局所神経症状が突然出現し、通常は数分から1時間程度で消失する。身体所見は発作時以外では正常となる。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 頭部MRI(DWI) | 急性期に異常なし | 脳梗塞との鑑別に有用 |
| 頭部MRA/頸動脈エコー | 血管狭窄や閉塞 | 血管病変の評価 |
| 心電図・心エコー | 心房細動・塞栓源検索 | 心原性塞栓の評価 |
症状の消失後でも、画像診断や血管評価で原因検索を行う。TIA診断は臨床経過と画像所見から総合的に判断し、脳梗塞を否定することが重要である。
治療
- 第一選択:抗血小板薬(アスピリンなど)投与
- 補助療法:危険因子(高血圧・糖尿病など)の管理、生活指導
- 注意点:早期脳梗塞発症のリスクが高く、入院精査・早期治療が推奨される
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 脳梗塞 | 症状が24時間以上持続・後遺症残存 | MRIでDWI高信号 |
| てんかん | 発作後の一過性麻痺(Todd麻痺) | 脳波異常・非血管支配性症状 |
補足事項
TIA発症後48時間以内は脳梗塞発症リスクが特に高い。ABCD2スコアによるリスク評価が臨床で用いられる。早期の専門医受診が強く推奨される。