ミトコンドリア糖尿病
概要
ミトコンドリア糖尿病はミトコンドリアDNA異常による糖尿病であり、母系遺伝形式をとる。インスリン分泌不全を主因とし、若年発症例や多臓器障害を伴うことが特徴である。難聴や心筋症などの合併が多い。
要点
- ミトコンドリアDNA変異による母系遺伝性糖尿病
- インスリン分泌不全が主体で難聴や心筋症を合併しやすい
- インスリン治療が必要となることが多い
病態・原因
ミトコンドリアDNAの変異(特に3243A>G変異)が原因で、インスリン分泌細胞の機能障害を引き起こす。母系遺伝を示し、糖尿病以外にも多臓器障害を伴うことがある。
主症状・身体所見
糖尿病症状(口渇、多尿、体重減少)に加え、感音性難聴や心筋症、筋力低下、てんかんなどを認める場合がある。若年発症や家族歴も診断の手がかりとなる。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 血糖・HbA1c | 血糖値・HbA1c上昇 | インスリン分泌能低下が主体 |
| ミトコンドリアDNA解析 | 3243A>G変異などの検出 | 母系遺伝の家族歴、難聴の合併で疑う |
| 聴力検査 | 感音性難聴 | 糖尿病と難聴の合併で本疾患を疑う |
糖尿病の診断基準を満たし、若年発症例や難聴、母系家族歴があれば本症を疑う。ミトコンドリアDNA変異の遺伝子診断が確定に有用。心電図や心エコーなどで心筋症の評価も行う。
治療
- 第一選択:インスリン療法
- 補助療法:食事療法、運動療法、合併症管理
- 注意点:経口血糖降下薬は無効例が多く、乳酸アシドーシスに注意
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 1型糖尿病 | 自己免疫性、ケトアシドーシス発症多い | 抗GAD抗体陽性、Cペプチド低値 |
| 2型糖尿病 | 生活習慣病、肥満例多い | インスリン抵抗性、家族歴(父系も) |
| MODY | 若年発症、常染色体優性遺伝 | 特定遺伝子変異、インスリン分泌障害 |
補足事項
ミトコンドリア糖尿病は多臓器障害を伴うため、糖尿病以外の症状にも注意が必要である。乳酸アシドーシスのリスクからメトホルミンは原則禁忌とされる。