カドミウム中毒
概要
カドミウム中毒は重金属であるカドミウムの摂取や吸入によって発症し、主に腎障害や骨障害を引き起こす。慢性暴露ではイタイイタイ病として知られ、急性中毒では消化器症状や呼吸器症状が現れる。産業現場や環境汚染が主な原因となる。
要点
- 慢性暴露で腎障害と骨軟化症を生じる
- 呼吸器・消化器症状も急性中毒で出現
- 環境・職業曝露のリスク管理が重要
病態・原因
カドミウムは主に工場排水や大気汚染、喫煙、カドミウムを含む肥料などから環境中に放出される。体内に取り込まれると腎臓に蓄積し、腎尿細管障害や骨代謝異常を引き起こす。慢性暴露では骨軟化症やイタイイタイ病の原因となる。
主症状・身体所見
急性中毒では悪心、嘔吐、腹痛、下痢などの消化器症状や、吸入による咳嗽、呼吸困難などの呼吸器症状がみられる。慢性中毒では蛋白尿、腎機能障害、骨痛、骨折、筋力低下などが特徴的である。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 尿中カドミウム濃度 | 高値 | 慢性暴露の指標 |
| 血中β2-ミクログロブリン | 高値 | 近位尿細管障害のマーカー |
| 骨X線 | 骨粗鬆化、骨折 | 骨軟化症・骨粗鬆症の評価 |
診断はカドミウム暴露歴の聴取、尿・血液中のカドミウム濃度測定、腎機能障害や骨代謝異常の検出によって行う。骨X線で骨粗鬆症や骨折が認められる場合も多い。
治療
- 第一選択:暴露源からの隔離・除去
- 補助療法:対症療法(水分補給、電解質管理)、腎不全時の透析
- 注意点:早期発見と暴露防止、慢性腎障害進行例は骨折予防が重要
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 鉛中毒 | 貧血・末梢神経障害・腹部疝痛 | 鉛の血中濃度上昇 |
| 水銀中毒 | 精神神経症状・振戦・口腔炎 | 血中・尿中水銀高値 |
| ヒ素中毒 | 消化器症状・皮膚色素沈着・末梢神経障害 | 血中・尿中ヒ素高値 |
補足事項
イタイイタイ病は日本で初めて公害病として認定されたカドミウム中毒の代表例であり、環境対策や職業衛生の重要性が再認識されている。腎障害や骨障害の進行は不可逆的な場合が多い。