Zollinger-Ellison症候群

概要

Zollinger-Ellison症候群は、ガストリノーマと呼ばれる腫瘍によりガストリンが過剰分泌され、胃酸分泌が異常亢進する疾患である。難治性の消化性潰瘍や下痢を特徴とする。多発性内分泌腺腫症1型(MEN1)との関連もみられる。

要点

  • ガストリノーマによるガストリン過剰分泌が本態
  • 難治性消化性潰瘍や下痢が主要症状
  • MEN1との合併例がある

病態・原因

主な原因は十二指腸や膵臓に発生するガストリノーマであり、これがガストリンを過剰に分泌することで胃酸分泌が著明に亢進する。約半数は多発性内分泌腺腫症1型(MEN1)に合併する。

主症状・身体所見

難治性の胃・十二指腸潰瘍、腹痛、下痢が中心症状である。重症例では消化管出血や穿孔もみられる。下痢は胃酸過多による腸管障害に起因する。

検査・診断

検査所見補足
血中ガストリン値著明な高値空腹時ガストリン>1000pg/mLで強く疑う
腹部造影CT/MRI膵・十二指腸の腫瘍性病変小腫瘍は同定困難なことも
セクレチン刺激試験ガストリン値の異常上昇偽陽性・偽陰性に注意
上部消化管内視鏡多発・難治性潰瘍十二指腸~空腸にも潰瘍を認めることあり

血中ガストリン値の著明な上昇と、画像検査での腫瘍同定が診断の基本。セクレチン刺激試験は鑑別に有用。内視鏡で多発・難治性潰瘍を認める。

治療

  • 第一選択:プロトンポンプ阻害薬(PPI)による胃酸分泌抑制
  • 補助療法:ガストリノーマの外科的切除、ソマトスタチンアナログ投与
  • 注意点:MEN1合併例では他の内分泌腫瘍の精査・管理が必要

鑑別・比較

疾患見分けるキーポイント検査差異
胃潰瘍ピロリ感染やNSAIDs関連が多いガストリン値正常、腫瘍なし
十二指腸潰瘍上腹部痛・夜間痛が主ガストリン値正常、腫瘍なし
MEN1副甲状腺・下垂体腫瘍を合併他内分泌腺腫瘍の有無

補足事項

ガストリノーマは悪性例も多く、転移の有無や腫瘍局在診断が治療方針決定に重要。MEN1症候群の一部として発症する場合は家族歴や他臓器腫瘍の検索も必須となる。

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