Wiskott-Aldrich症候群
概要
Wiskott-Aldrich症候群は、X連鎖劣性遺伝形式をとる先天性免疫不全症であり、湿疹、血小板減少による出血傾向、易感染性の三徴を特徴とする。主に乳児期から発症し、細胞性・液性免疫の両方に障害を来す。
要点
- X連鎖劣性遺伝による先天性免疫不全症
- 血小板減少・湿疹・易感染性の三徴が特徴
- 悪性腫瘍や自己免疫疾患の合併リスクが高い
病態・原因
Wiskott-Aldrich症候群はWASP遺伝子の変異により発症し、細胞骨格制御異常を通じてT細胞・B細胞・血小板の機能障害を来す。X染色体上の遺伝子異常のため、主に男児に発症する。
主症状・身体所見
乳児期早期から湿疹、再発性細菌感染、血小板減少による点状出血や紫斑が現れる。重症例では易出血性や重篤な感染症を繰り返し、成長障害や脾腫も認めることがある。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 血液検査 | 血小板減少、小型血小板 | 末梢血塗抹標本で血小板の小型化を確認 |
| 免疫グロブリン定量 | IgM低値、IgA・IgE高値、IgG正常〜高値 | 液性免疫の異常パターンが特徴 |
| WASP蛋白解析 | WASP蛋白の発現低下または消失 | 遺伝子診断で確定可能 |
血小板数減少と小型血小板、免疫グロブリン異常、再発性感染症・湿疹の臨床三徴から診断を疑う。確定診断にはWASP遺伝子変異解析が有用。骨髄検査では巨核球の減少がみられることもある。
治療
- 第一選択:造血幹細胞移植
- 補助療法:免疫グロブリン補充療法、抗菌薬投与、出血管理
- 注意点:移植適応評価、感染・出血予防、悪性腫瘍監視
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 重症複合型免疫不全症 | 血小板減少・湿疹は目立たない | 血小板数正常、IgG・IgM・IgA全て低値 |
| 特発性血小板減少性紫斑病 | 感染症や湿疹を伴わず急性発症 | 免疫グロブリン正常、WASP蛋白異常なし |
| 慢性肉芽腫症 | 湿疹・血小板減少はみられない | 好中球機能検査異常、血小板数正常 |
補足事項
造血幹細胞移植以外には根治的治療がなく、早期診断・早期移植が予後改善の鍵となる。遺伝カウンセリングや家族検査も重要。成人例では悪性リンパ腫など腫瘍合併に注意が必要。