Wernicke失語

概要

Wernicke失語は、主に左側側頭葉上部(Wernicke野)の障害によって生じる流暢性失語の一型である。理解障害が顕著で、流暢だが意味の乏しい発話が特徴となる。脳血管障害、とくに中大脳動脈皮質枝領域の梗塞で発症することが多い。

要点

  • 言語理解障害が主症状
  • 流暢だが意味不明な発話(ジャーゴン)
  • 失語の中でも重度のコミュニケーション障害

病態・原因

Wernicke失語は、左側優位半球の側頭葉後上部(Wernicke野)の障害によって発症する。主な原因は脳梗塞や脳出血などの脳血管障害であり、まれに脳腫瘍や外傷、感染症なども原因となる。

主症状・身体所見

自発語は流暢で発語量も多いが、意味の通らない言葉や造語が混じる。言語理解が著しく障害され、会話の内容を理解できない。復唱や命名も障害されるが、発語の努力性や構音障害は目立たない。

検査・診断

検査所見補足
頭部MRI/CT左側側頭葉後上部の病変脳梗塞・出血の有無を確認
言語機能検査理解障害、流暢な発語、復唱障害SLTAなど標準化検査を実施

画像検査によりWernicke野の障害を同定し、言語機能検査で特徴的な失語パターンを確認することが診断の基本となる。鑑別にはBroca失語や伝導失語との比較が重要。

治療

  • 第一選択:原疾患(脳血管障害など)の治療およびリハビリテーション
  • 補助療法:言語療法士による個別リハビリ、家族指導
  • 注意点:早期リハビリ介入が予後改善に重要

鑑別・比較

疾患見分けるキーポイント検査差異
Broca失語非流暢、理解は比較的保たれる左前頭葉下部病変
伝導失語流暢で理解は比較的良好、復唱障害が顕著弓状束の障害

補足事項

Wernicke失語は社会復帰や日常生活への影響が大きく、早期のリハビリ介入が重要である。失語症状は経時的に変化するため、定期的な再評価が推奨される。

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