Broca失語
概要
Broca失語は、発話の流暢性が障害される運動性失語の一型であり、主に左前頭葉のBroca野の損傷によって生じる。理解は比較的保たれるが、発語が非流暢で努力性となり、文法的な誤りが目立つ。
要点
- 発語が非流暢・努力性で語数が少ない
- 聴覚的理解は比較的保たれる
- Broca野(左下前頭回)の障害による
病態・原因
Broca失語は主に左下前頭回(Broca野、44・45野)の損傷によって生じる。原因としては脳梗塞や脳出血などの脳血管障害が多く、まれに脳腫瘍や外傷でも発症する。
主症状・身体所見
自発発話は非流暢かつ努力性で、電報様発話(助詞や助動詞の脱落)が特徴的である。復唱や命名も障害されるが、聴覚的理解は比較的良好である。右片麻痺を伴うことが多い。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 頭部MRI/CT | 左下前頭回(Broca野)の損傷を認める | 脳血管障害や腫瘍の評価 |
| 失語症検査(SLTA等) | 非流暢発話、復唱障害、理解は比較的保たれる | 言語機能の定量評価 |
| 聴覚的理解テスト | 理解は比較的良好 | 他の失語との鑑別に有用 |
画像所見でBroca野の損傷を確認し、言語検査で非流暢性発話・復唱障害を認めることが診断の決め手となる。他の失語(例:Wernicke失語)との鑑別には理解力の評価が重要である。
治療
- 第一選択:言語聴覚療法(リハビリテーション)
- 補助療法:作業療法・心理的サポート
- 注意点:早期リハビリ開始と家族支援が重要
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| Wernicke失語 | 流暢だが意味不明な発話、理解障害 | 病変部位は側頭葉、理解障害が顕著 |
| 伝導失語 | 流暢だが復唱障害が目立つ | 弓状束病変、理解・発話は比較的保たれる |
補足事項
失語症は発症後早期からのリハビリテーションが予後改善に寄与する。高齢者では脳血管障害が主因であり、再発予防や全身管理も重要となる。