Shy-Drager症候群
概要
Shy-Drager症候群は、進行性の自律神経障害とパーキンソニズムを特徴とする神経変性疾患で、多系統萎縮症(MSA)の一亜型である。主に中高年に発症し、起立性低血圧や排尿障害など自律神経症状が顕著である。進行に伴い運動障害や小脳症状もみられる。
要点
- 自律神経障害(起立性低血圧、排尿障害など)が主症状
- パーキンソニズムや小脳症状を伴う進行性神経変性疾患
- 多系統萎縮症(MSA)の一型として分類される
病態・原因
中枢自律神経系(特に延髄・脊髄中間外側核)の神経細胞変性・脱落が主体となる。オリゴデンドロサイト内のグリア細胞内封入体(α-シヌクレイン陽性)が特徴で、原因は不明だが加齢や遺伝的要因が関与する可能性がある。
主症状・身体所見
起立性低血圧、排尿障害、発汗異常、勃起障害などの自律神経症状が初期から目立つ。進行すると筋強剛や動作緩慢、姿勢反射障害などのパーキンソニズム、小脳失調、錐体路徴候も加わる。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 起立試験 | 起立性低血圧 | 収縮期血圧20mmHg以上低下 |
| 頭部MRI | 被殻・小脳・脳幹萎縮 | ホットクロスバン徴候(橋の線状高信号) |
| 自律神経機能検査 | 発汗・心拍変動低下 | 心電図RR間隔変動減少 |
臨床症状と自律神経機能障害の組み合わせ、MRI所見、他疾患の除外が診断の基本となる。橋のホットクロスバン徴候は比較的特異的な画像所見である。
治療
- 第一選択:対症療法(起立性低血圧に昇圧薬、パーキンソニズムにレボドパ等)
- 補助療法:リハビリテーション、排尿管理、栄養管理
- 注意点:薬剤反応性が低く、進行性で予後不良
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| Parkinson病 | 自律神経障害が軽度、薬剤反応性良好 | MRI萎縮なし、レスポンス良好 |
| 進行性核上性麻痺 | 垂直性眼球運動障害、転倒多発 | MRIで中脳萎縮(ハチドリサイン) |
補足事項
Shy-Drager症候群は現在「多系統萎縮症(MSA)」の自律神経優位型(MSA-A)として分類される。パーキンソニズムや小脳症状の出現様式によりMSA-PやMSA-Cと鑑別される。