Q熱
概要
Q熱はコクシエラ・バーネッティ(Coxiella burnetii)による人獣共通感染症で、主に家畜との接触や環境曝露を介して感染する。急性型と慢性型があり、発熱・頭痛・肺炎や肝障害など多彩な臨床像を呈する。診断には血清学的検査やPCRが有用である。
要点
- コクシエラ・バーネッティによる人獣共通感染症
- 急性型は発熱・肺炎・肝障害が主症状
- 慢性型では心内膜炎を合併することがある
病態・原因
病原体はグラム陰性のコクシエラ・バーネッティで、家畜(牛・羊・山羊など)の胎盤や糞尿、乳汁などから環境中に排出され、エアロゾル吸入などでヒトに感染する。職業曝露や農村部での発生が多い。
主症状・身体所見
急性型では発熱、頭痛、筋肉痛、咳嗽、肺炎、肝障害(肝酵素上昇)などがみられる。慢性型では心内膜炎、血管炎、慢性肝炎などが出現する。無症候性感染も一定数存在する。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 血清抗体検査 | フェーズⅡ抗体上昇(IgM/IgG) | 急性期・慢性期の鑑別に有用 |
| PCR検査 | コクシエラDNA検出 | 早期診断や確定診断に有用 |
| 肝機能検査 | AST/ALT上昇 | 肝障害の評価 |
急性型ではフェーズⅡ抗体の上昇、慢性型ではフェーズⅠ抗体の上昇がみられる。画像検査(胸部X線)で肺炎像、心エコーで心内膜炎所見が参考となる。
治療
- 第一選択:ドキシサイクリン内服
- 補助療法:対症療法(解熱、安静)、慢性型ではリファンピシン併用
- 注意点:妊婦や小児では他剤選択、慢性型は長期治療が必要
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| レジオネラ肺炎 | 水回り曝露・下痢・意識障害 | 尿中抗原陽性 |
| オウム病 | 鳥類曝露歴・乾性咳嗽 | クラミジア抗体陽性 |
| ブルセラ症 | 畜産業曝露・関節痛 | ブルセラ抗体陽性 |
補足事項
Q熱は生物兵器として利用された歴史があり、発生時は公衆衛生上の対応が重要となる。慢性型は診断・治療ともに難渋することがあり、専門医との連携が推奨される。