Pancoast症候群

概要

Pancoast症候群は肺尖部に発生した腫瘍(主に肺癌)による局所浸潤によって、腕神経叢や交感神経幹などが障害されることで特徴的な症状を呈する症候群である。上肢の神経症状やHorner症候群が主な臨床像となる。進行した肺尖部腫瘍の重要な合併症である。

要点

  • 肺尖部腫瘍による神経・血管への浸潤が主因
  • 上肢の疼痛・筋力低下やHorner症候群が特徴的
  • 画像診断と腫瘍組織診断が確定診断に重要

病態・原因

Pancoast症候群は主に肺尖部の悪性腫瘍(特に扁平上皮癌や腺癌)が、腕神経叢や交感神経幹、隣接する肋骨・椎体などへ直接浸潤することで発症する。喫煙歴がリスク因子となることが多い。

主症状・身体所見

肩から上肢内側にかけての激しい疼痛、感覚障害、筋力低下が出現する。また、交感神経障害によるHorner症候群(眼瞼下垂、縮瞳、無汗症)が高頻度でみられる。進行例では上肢の筋萎縮や握力低下も認められる。

検査・診断

検査所見補足
胸部CT/MRI肺尖部腫瘍の存在と局所浸潤の評価腫瘍の大きさ・周囲組織浸潤
生検腫瘍組織の病理学的診断気管支鏡やCTガイド下生検
神経学的検査上肢の感覚・運動障害の評価腕神経叢領域の障害

画像検査で肺尖部腫瘍の局所浸潤範囲を評価し、組織生検で腫瘍の確定診断を行う。Horner症候群や腕神経叢障害の臨床所見が診断の手がかりとなる。

治療

  • 第一選択:化学放射線療法と外科的切除の組み合わせ
  • 補助療法:疼痛管理、リハビリテーション
  • 注意点:術前に局所浸潤範囲を十分に評価し、根治切除可能例を選択

鑑別・比較

疾患見分けるキーポイント検査差異
胸郭出口症候群腫瘍性病変を認めない画像で腫瘍なし
Horner症候群原因が多岐(腫瘍以外も含む)原疾患の検索が必要
転移性肺腫瘍原発巣が他臓器に存在病理・全身検索で鑑別

補足事項

Pancoast症候群は進行肺癌の局所進展例でみられることが多く、治療成績は腫瘍の切除可能性と早期診断に依存する。近年では集学的治療の進歩により予後改善が期待されている。

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