Niemann-Pick病
概要
Niemann-Pick病はスフィンゴミエリナーゼやコレステロール輸送に関わる酵素の異常により、スフィンゴミエリンやコレステロールが細胞内に蓄積する遺伝性リピドーシス。主に肝脾腫や神経症状を呈し、A型・B型・C型など複数の型が存在する。乳幼児期発症例は重篤な経過をとることが多い。
要点
- 酵素異常によるリピドーシスで肝脾腫・神経症状が特徴
- A型・B型はスフィンゴミエリナーゼ欠損、C型はコレステロール輸送障害
- 進行性で予後不良例が多いが型により臨床像は異なる
病態・原因
常染色体劣性遺伝形式で発症し、A型・B型は酸性スフィンゴミエリナーゼ遺伝子(SMPD1)の変異、C型はNPC1またはNPC2遺伝子の変異による。これによりスフィンゴミエリンやコレステロールの分解・輸送が障害され、各種臓器に脂質が蓄積する。
主症状・身体所見
肝脾腫、進行性神経症状(運動発達遅延、痙攣、認知障害)、筋緊張低下、黄疸、成長障害などがみられる。C型では垂直性核上性眼球運動障害や精神症状も特徴的である。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 酵素活性測定 | スフィンゴミエリナーゼ活性低下(A/B型) | 白血球または線維芽細胞で測定 |
| 遺伝子検査 | SMPD1/NPC1/NPC2遺伝子変異 | 型判別・確定診断に有用 |
| 骨髄穿刺 | フォーム細胞の出現 | 脂質蓄積を反映 |
| 画像検査(MRI等) | 肝脾腫・脳萎縮・白質病変など | 神経症状の評価や臓器障害の検索 |
酵素活性測定や遺伝子解析が診断の決め手となる。骨髄穿刺で泡沫細胞(フォーム細胞)がみられる。C型ではフィリピン染色によるコレステロール蓄積の確認も有用。
治療
- 第一選択:対症療法(肝脾腫や神経症状への支持療法)
- 補助療法:C型にはミグルスタット(コレステロール輸送改善薬)投与
- 注意点:根本的治療法は確立しておらず、早期診断・多職種連携が重要
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| Gaucher病 | β-グルコセレブロシダーゼ欠損、骨病変 | 酵素活性・遺伝子検査で鑑別 |
| Fabry病 | α-ガラクトシダーゼA欠損、皮膚病変 | 酵素活性・遺伝子検査で鑑別 |
| Tay-Sachs病 | 神経症状優位、肝脾腫なし | ヘキソサミニダーゼA活性低下 |
補足事項
日本では稀な疾患だが、乳幼児期の進行性肝脾腫・神経症状をみた場合に鑑別が重要。新規治療薬や遺伝子治療の研究が進行中である。