HC-Ⅱ欠損症

概要

HC-Ⅱ欠損症は、ヘパリンコファクターⅡ(HC-Ⅱ)の先天的または後天的な欠損により、血液凝固の抑制が障害される希少な凝固異常症である。HC-Ⅱは主にヘパリンと結合してトロンビンを阻害する抗凝固因子であり、不足すると血栓症リスクが増加する。

要点

  • ヘパリンコファクターⅡの機能低下による凝固制御障害
  • 静脈血栓塞栓症の発症リスクが高まる
  • 臨床的には無症状から重度血栓症まで幅広い

病態・原因

HC-Ⅱは肝臓で産生される血漿中の抗凝固タンパクで、主にヘパリンと結合することでトロンビンの活性を抑制する。遺伝子異常による先天性欠損や、肝疾患などによる後天性低下が原因となる。

主症状・身体所見

多くは無症状だが、反復する深部静脈血栓症や肺塞栓症などの血栓症を発症することがある。家族歴や若年発症例では遺伝性が疑われる。

検査・診断

検査所見補足
HC-Ⅱ活性測定活性低下参考基準値:70-120%
凝固系スクリーニングPT/APTTは通常正常他の凝固異常との鑑別に有用

HC-Ⅱ活性の低下を認め、他の抗凝固因子(AT、プロテインC/S等)は正常であることが診断の手がかりとなる。遺伝子解析が確定診断に有用。

治療

  • 第一選択:血栓症発症時は抗凝固療法(ヘパリン、ワルファリン等)
  • 補助療法:血栓予防のための生活指導、リスク因子管理
  • 注意点:HC-Ⅱ欠損のみでは無症状例も多く、無症状例の治療適応は慎重に判断

鑑別・比較

疾患見分けるキーポイント検査差異
AT欠損症AT活性低下、より重篤な血栓傾向AT活性測定で低値
プロテインC欠乏症若年発症の静脈血栓塞栓症プロテインC活性低下

補足事項

HC-Ⅱ欠損症は極めて稀な疾患であり、家族歴や再発例では他の凝固異常との合併も念頭に置く必要がある。診断確定には専門施設での精密検査が推奨される。

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