Gilbert症候群
概要
Gilbert症候群は、間接型高ビリルビン血症を特徴とする遺伝性疾患で、主に肝臓のビリルビン代謝酵素(UGT1A1)の活性低下が原因となる。多くは無症状だが、ストレスや感染、絶食などで黄疸が出現しやすい。予後は良好で、治療の必要はほとんどない。
要点
- UGT1A1遺伝子多型による間接型高ビリルビン血症
- 無症状あるいは軽度黄疸が主体で予後良好
- 治療不要で経過観察が基本
病態・原因
UGT1A1遺伝子多型によりグルクロン酸抱合能が部分的に低下し、間接型(非抱合型)ビリルビンが血中に蓄積する。常染色体劣性遺伝形式をとる。発症にはストレス、絶食、疲労、感染症などの誘因が関与する。
主症状・身体所見
多くは無症状だが、黄疸(特に眼球結膜)が誘因時に一過性に出現する。身体所見や肝腫大、脾腫などは通常みられない。自覚症状に乏しく、健康診断などで偶然発見されることが多い。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 血清ビリルビン | 総ビリルビン上昇(主に間接型) | 通常2~5mg/dL、他肝機能正常 |
| 肝機能検査 | AST・ALT・ALP・γ-GTP正常 | 肝炎や溶血性疾患の除外に有用 |
| 遺伝子検査 | UGT1A1多型確認 | 確定診断に用いられる場合あり |
診断は間接型高ビリルビン血症を認め、他の肝疾患や溶血性疾患を除外することが基本。絶食負荷やフェノバルビタール投与によるビリルビン変動が診断補助となる。画像検査では肝胆道系に異常を認めない。
治療
- 第一選択:特異的治療は不要(経過観察)
- 補助療法:誘因(絶食、過度なストレス、薬剤)回避指導
- 注意点:他疾患との鑑別、不要な治療や薬剤投与の回避
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| Crigler-Najjar症候群 | 新生児期から重度の高ビリルビン血症 | ビリルビン値高度上昇、重篤な核黄疸リスク |
| Dubin-Johnson症候群 | 直接型高ビリルビン血症、肝黒色沈着 | 直接型優位、肝生検で黒色沈着 |
補足事項
フェノバルビタールでビリルビン値が低下することが特徴的。薬剤代謝酵素の活性が低いため、一部の薬剤(イリノテカンなど)で副作用リスクが増大することがある。