E型肝炎
概要
E型肝炎はE型肝炎ウイルス(HEV)による急性ウイルス性肝炎で、主に経口感染を介して発症する。発展途上国では水系感染が多く、日本では豚肉などの食品由来感染も報告される。通常は一過性だが、妊婦や免疫不全患者では重症化することがある。
要点
- 経口感染(特に汚染水・加熱不十分な豚肉等)で発症
- 通常は急性経過だが、妊婦や免疫不全者で重症化・慢性化例あり
- A型肝炎と類似するが、流行地域や重症化リスクで鑑別
病態・原因
E型肝炎ウイルス(HEV)は主に糞口感染経路で伝播し、ヒトや動物(特に豚)を宿主とする。発展途上国では汚染された水が主な感染源であり、日本などでは加熱不十分な豚肉やジビエの摂取による感染が増加している。
主症状・身体所見
発熱、全身倦怠感、悪心、嘔吐、腹痛、黄疸などがみられる。多くは軽症で済むが、妊婦では劇症化しやすい。肝腫大や右上腹部圧痛が認められることもある。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 血清HEV-IgM抗体 | 陽性 | 急性感染の診断に有用 |
| 肝機能検査(AST,ALT,ビリルビン) | 上昇 | 急性肝炎の活動性を反映 |
| HEV RNA検出 | 陽性 | PCR法でウイルス遺伝子を同定 |
血清IgM抗体陽性やHEV RNA検出が診断の決め手となる。超音波検査で肝腫大や肝実質の変化を認めることがある。A型肝炎や他のウイルス性肝炎との鑑別が重要。
治療
- 第一選択:対症療法(安静・水分補給・肝保護)
- 補助療法:重症例や免疫不全例ではリバビリン投与を検討
- 注意点:妊婦では劇症化リスクが高く、慎重な管理が必要
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| A型肝炎 | HEVと同様に経口感染、流行地や年齢層で鑑別 | HAV-IgM抗体陽性 |
| B型肝炎 | 血液・体液感染、慢性化しやすい | HBs抗原・HBV DNA陽性 |
| C型肝炎 | 血液感染、慢性肝炎化が多い | HCV抗体・HCV RNA陽性 |
補足事項
日本では豚肉やジビエの生食・加熱不十分な摂取による感染例が増加している。妊婦の劇症化や、免疫抑制患者での慢性化に注意が必要。ワクチンは一部地域で開発・使用されているが、国内では未承認。