D型肝炎
概要
D型肝炎は、D型肝炎ウイルス(HDV)による肝炎であり、B型肝炎ウイルス(HBV)感染者にのみ発症する。HDVは単独では感染・増殖できず、HBVとの重感染または二次感染(スーパーインフェクション)で重篤化しやすい特徴がある。
要点
- HBV感染者にのみ発症するウイルス性肝炎
- スーパーインフェクションで劇症化リスクが高い
- 予防にはHBVワクチン接種が有効
病態・原因
D型肝炎はHDVによる感染症で、HDVはHBVの表面抗原(HBs抗原)を利用してヒト肝細胞に感染する。HBVキャリアへのHDV重感染や同時感染が発症のリスク因子となる。
主症状・身体所見
急性肝炎では発熱、全身倦怠感、黄疸、食欲不振、肝腫大などがみられる。慢性化や劇症化しやすく、重症例では意識障害や出血傾向、腹水の出現もある。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 血清HDV RNA | 陽性 | HDV感染の直接証明 |
| 抗HDV抗体 | IgM/IgG陽性 | 感染時期や既往の判断 |
| HBs抗原 | 陽性 | HBV感染の確認 |
| 肝機能検査 | AST/ALT上昇、ビリルビン上昇 | 肝障害の程度評価 |
HDV感染は血清HDV RNAや抗HDV抗体検出により診断する。HBs抗原陽性例でHDV感染を疑う。画像検査(腹部超音波、CT)は肝腫大や肝硬変評価に有用。
治療
- 第一選択:HBV感染予防(HBVワクチン)、慢性例ではインターフェロン療法
- 補助療法:肝庇護療法、支持療法、重症例では肝移植も検討
- 注意点:HBVのコントロールが不可欠、劇症化時は早期専門医療が必要
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| B型肝炎 | HDV感染がない、HBV単独感染 | HDVマーカー陰性 |
| C型肝炎 | HCV感染歴、HBV・HDVマーカー陰性 | HCV抗体・RNA陽性 |
| E型肝炎 | 豚肉などの経口感染歴、HBV・HDV陰性 | HEV抗体・RNA陽性 |
補足事項
HDVは血液・体液を介して感染し、HBVキャリアにおいて特に注目される。日本では稀だが、世界的には地中海沿岸やアフリカ、アジアでの流行が報告されている。