Dandy-Walker症候群
概要
Dandy-Walker症候群は、小脳虫部の形成不全と第4脳室の拡大、後頭蓋窩嚢胞を特徴とする先天性脳奇形である。乳児期に水頭症や運動発達遅延など多彩な神経症状を呈する。染色体異常や他の先天異常と合併することも多い。
要点
- 小脳虫部低形成と第4脳室拡大が特徴
- 水頭症を高率に合併する
- 精神運動発達遅延や痙攣など多様な神経症状
病態・原因
胎生期の小脳虫部および第4脳室の発生異常により生じる。染色体異常や遺伝子変異、母体の感染や薬剤曝露などがリスク因子となる場合がある。他の中枢神経奇形や全身奇形を合併することも多い。
主症状・身体所見
乳児期からの頭囲拡大や前頭縫合開大、水頭症による嘔吐・傾眠などがみられる。運動発達の遅れ、筋緊張低下、痙攣発作、小脳症状(運動失調など)を呈する。知的障害や視覚・聴覚障害を伴うこともある。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 頭部MRI | 小脳虫部の低形成、第4脳室の拡大、後頭蓋窩嚢胞 | 形態異常の詳細な評価に有用 |
| 頭部超音波 | 第4脳室拡大、嚢胞性病変 | 乳児期のスクリーニングに有用 |
| CT | 後頭蓋窩嚢胞、脳室拡大 | 水頭症評価・骨構造の観察にも |
MRIで小脳虫部の欠損や第4脳室の嚢胞状拡大を確認し診断する。水頭症の有無や他の脳奇形の合併も画像で評価する。遺伝学的検査や染色体分析が追加されることもある。
治療
- 第一選択:水頭症に対する脳室腹腔シャント術
- 補助療法:リハビリテーション、対症療法、発達支援
- 注意点:合併奇形やてんかん管理、長期フォローアップ
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| Chiari奇形 | 小脳扁桃の下垂、脊髄空洞症の合併 | MRIで小脳扁桃の位置異常 |
| 正常圧水頭症 | 高齢発症、認知症・歩行障害・尿失禁 | 脳室拡大だが小脳虫部形成正常 |
| くも膜囊胞 | 脳実質の欠損を伴わない嚢胞性病変 | MRIで嚢胞のみ、脳構造正常 |
補足事項
Dandy-Walker症候群は他の先天性疾患との合併が多く、全身的な評価と多職種連携による管理が重要である。遺伝カウンセリングの適応となる場合も多い。