ADA欠損症

概要

ADA欠損症(アデノシンデアミナーゼ欠損症)は、プリン代謝酵素であるアデノシンデアミナーゼ(ADA)の遺伝的欠損により、重症複合型免疫不全(SCID)を引き起こす先天性疾患。主に乳児期から重篤な感染症を繰り返し、治療しなければ致死的となる。

要点

  • ADA酵素の欠損によりプリン代謝異常が生じる
  • 乳児期から重度の免疫不全症状を呈する
  • 早期治療が予後改善に必須

病態・原因

ADA欠損症は常染色体劣性遺伝形式で発症し、ADA酵素の活性低下によりデオキシアデノシンなど有害代謝産物が蓄積する。これがリンパ球毒性をもたらし、T細胞・B細胞・NK細胞すべてが著減する重症複合型免疫不全(SCID)となる。

主症状・身体所見

生後早期から反復する細菌・ウイルス・真菌感染症がみられ、発育不良や慢性下痢、口腔カンジダ症、皮膚炎なども生じる。リンパ節や扁桃の発達不良も特徴的である。

検査・診断

検査所見補足
血液リンパ球分画T細胞・B細胞・NK細胞すべてが著減SCIDの診断に重要
ADA活性測定ADA酵素活性の著明な低下または欠損遺伝子診断と併用
免疫グロブリン定量IgG, IgA, IgMの低値体液性免疫も障害される

SCIDの診断基準に加え、ADA活性低下やADA遺伝子変異の同定が確定診断となる。骨髄検査でリンパ球減少や胸腺低形成も認められる。

治療

  • 第一選択:造血幹細胞移植
  • 補助療法:酵素補充療法(PEG-ADA)、感染予防、対症療法
  • 注意点:早期治療が重要、未治療例は致死的経過

鑑別・比較

疾患見分けるキーポイント検査差異
重症複合型免疫不全症(SCID)ADA以外の酵素異常や遺伝子異常ADA活性正常
DiGeorge症候群心奇形・低カルシウム血症・顔貌異常胸腺低形成だがADA活性正常
Wiskott-Aldrich症候群血小板減少・湿疹・易感染性ADA活性正常、血小板減少顕著

補足事項

ADA欠損症は早期診断・治療が生命予後を左右する。新生児スクリーニング導入や遺伝子治療の臨床応用も進展している。家族歴の聴取や遺伝カウンセリングも重要となる。

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