食道カンジダ症
概要
食道カンジダ症はCandida属真菌による食道の感染症であり、免疫低下状態の患者に多く発生する。嚥下困難や胸痛などの症状を呈し、内視鏡で白色斑を認めることが特徴である。HIV感染症やがん化学療法中の患者で特に注意が必要となる。
要点
- 日和見感染症として免疫抑制状態で発症しやすい
- 嚥下困難・胸痛が主症状で内視鏡的に白苔を認める
- 抗真菌薬が治療の中心となる
病態・原因
Candida albicansなどの真菌が、宿主の免疫低下や抗生剤長期使用などを背景に食道粘膜に定着・増殖することで発症する。HIV感染症、悪性腫瘍、糖尿病、ステロイドや免疫抑制剤投与が主なリスク因子である。
主症状・身体所見
嚥下困難(ディサフィジア)や嚥下時痛(オドノフォジア)、胸部不快感、時に発熱を伴う。口腔カンジダ症を合併することも多い。重症例では体重減少や栄養障害に至る場合もある。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 上部消化管内視鏡 | 白色斑(白苔)、偽膜形成、発赤・びらん | 病変部の生検・真菌染色で確定診断 |
| 真菌培養 | Candida属の同定 | 生検組織やブラシング検体から分離培養 |
| 血液検査 | 炎症反応の上昇、免疫低下の指標 | HIV抗体、血糖値、白血球数など |
内視鏡での白色斑が診断の決め手となり、生検による組織学的真菌証明が確定診断となる。培養やグロコット染色も有用。鑑別疾患との違いを意識する。
治療
- 第一選択:フルコナゾールなどのアゾール系抗真菌薬の内服
- 補助療法:基礎疾患のコントロール、栄養管理、口腔衛生
- 注意点:重症例や経口投与困難例ではイトラコナゾールや静注アムホテリシンBを考慮
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 食道潰瘍 | 潰瘍形成が主、白苔よりも深いびらん | 内視鏡で潰瘍底が明瞭 |
| 好酸球性食道炎 | 若年者・アレルギー素因、縦走溝・輪状狭窄 | 生検で好酸球浸潤 |
| 食道癌 | 不規則な隆起・潰瘍、進行例で狭窄 | 生検で悪性細胞 |
補足事項
近年、HIV/AIDS患者や造血幹細胞移植後患者での発症が増加傾向にある。抗真菌薬耐性例も報告されており、治療反応性の評価と基礎疾患の精査が重要となる。