銅中毒
概要
銅中毒は過剰な銅の摂取や体内蓄積により発症し、急性・慢性の両形態がある。主に消化管症状や肝障害、重症例では多臓器不全をきたす。Wilson病など遺伝性疾患によるものと、外因性摂取によるものがある。
要点
- 急性では消化器症状と肝障害が中心
- 慢性では神経症状や腎障害も出現
- Wilson病との鑑別が重要
病態・原因
銅中毒は大量の銅摂取や銅製品からの溶出、あるいは体内の代謝異常により発症する。Wilson病では銅排泄障害が、外因性では誤飲や職業曝露が主な原因となる。銅は主に肝臓に蓄積し、肝細胞障害や酸化ストレスを引き起こす。
主症状・身体所見
急性中毒では悪心・嘔吐・腹痛・下痢などの消化器症状が突出し、重症例では黄疸や意識障害、腎不全を伴う。慢性では貧血、神経症状、肝脾腫などもみられる。Wilson病ではKayser-Fleischer輪が特徴的。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 血清銅・セルロプラスミン | 血清銅高値、セルロプラスミン低値/正常 | Wilson病では低値が特徴 |
| 尿中銅排泄量 | 増加 | 慢性例やWilson病で有用 |
| 肝機能検査 | AST/ALT上昇、ビリルビン上昇 | 肝障害の程度評価 |
急性では血清銅値の上昇と肝障害所見、慢性例やWilson病ではセルロプラスミン低値や尿中銅排泄の増加が診断の手がかりとなる。眼科的検査でKayser-Fleischer輪の確認も重要。
治療
- 第一選択:銅曝露の中止と胃洗浄、キレート剤(D-ペニシラミン、ジメルカプロール)投与
- 補助療法:支持療法(輸液、肝保護、対症的処置)
- 注意点:重症例では肝移植の検討、腎障害や再発予防に注意
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| Wilson病 | 若年発症・家族歴・Kayser-Fleischer輪 | セルロプラスミン低値、尿中銅増加 |
| ヒ素中毒 | 末梢神経障害・皮膚症状・Mees線 | 尿中ヒ素増加 |
| 鉛中毒 | 貧血・腹部疝痛・神経症状 | 血中鉛高値、血液塗抹で塩基性斑点赤血球 |
補足事項
銅中毒はWilson病など遺伝性疾患の鑑別が重要であり、慢性例では肝・腎・神経障害の経過観察が不可欠。職業曝露や水道水など環境要因にも注意が必要。