過敏性肺(臓)炎
概要
過敏性肺(臓)炎は、吸入抗原に対する免疫反応によって発症する間質性肺疾患である。主に有機粉塵やカビ、動物性タンパクなどの反復吸入が誘因となる。慢性化すると不可逆的な肺線維化へ進行することがある。
要点
- アレルゲン吸入による免疫介在性の間質性肺炎
- 急性・亜急性・慢性の経過をとりうる
- 抗原回避が治療の基本で、進行例では線維化をきたす
病態・原因
感作された抗原(カビ、鳥類、農産物など)を繰り返し吸入することで、III型およびIV型アレルギー反応が惹起される。炎症が肺胞壁や間質に波及し、慢性化すると線維化が進行する。農業従事者や鳥類飼育者など特定の職業・環境がリスクとなる。
主症状・身体所見
急性型では発熱、悪寒、咳嗽、呼吸困難などインフルエンザ様症状が数時間~数日で出現する。慢性型では進行性の労作時呼吸困難、乾性咳嗽、ばち指などがみられる。聴診では捻髪音を認めることが多い。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 胸部CT | すりガラス影、粒状影、線維化像 | 上肺優位、蜂巣肺は晩期 |
| 血清特異的IgG抗体 | 抗原特異的IgG抗体陽性 | 抗原同定の参考 |
| 肺機能検査 | 拘束性換気障害、拡散能低下 | 慢性化で著明 |
診断は臨床経過、曝露歴、画像・血清学的所見の総合評価による。抗原回避試験やBAL(気管支肺胞洗浄)でリンパ球増多も診断の参考となる。肺生検が必要な場合もある。
治療
- 第一選択:抗原曝露の回避
- 補助療法:副腎皮質ステロイド投与(重症例や慢性例)
- 注意点:再曝露の防止と慢性線維化への早期対応
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 間質性肺炎 | 抗原曝露歴の有無、急性発症 | 抗原特異的IgG抗体陰性 |
| サルコイドーシス | 両側肺門リンパ節腫脹、非乾酪性肉芽腫 | ACE高値、画像で特徴的所見 |
| 気管支喘息 | 可逆性気流制限、喘鳴 | 呼吸機能で閉塞性障害 |
補足事項
抗原曝露の特定が困難な場合も多く、詳細な問診が重要。職業性・環境性疾患としての側面も強く、再発予防のための生活指導が不可欠。慢性例では不可逆的な肺線維化に注意が必要。