透析アミロイドーシス
概要
透析アミロイドーシスは、長期透析患者に生じるβ2ミクログロブリン由来アミロイドの沈着症である。主に関節や骨、腱鞘などにアミロイドが沈着し、運動器障害を呈する。透析歴が長いほど発症リスクが高まる。
要点
- 長期透析患者に高頻度で発症する合併症
- β2ミクログロブリンの沈着が主因
- 関節痛や骨病変、手根管症候群などを生じる
病態・原因
長期にわたる血液透析により、分子量の大きいβ2ミクログロブリンが十分に除去されず体内に蓄積し、アミロイド線維として関節や骨、腱などに沈着する。透析歴10年以上がリスク因子であり、高齢発症例が多い。
主症状・身体所見
手根管症候群や骨嚢胞性病変、関節痛や腫脹、運動制限などがみられる。特に肩・手関節・膝の障害が多く、腱断裂や脊椎病変も認められることがある。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 画像検査 | 骨嚢胞、関節周囲の骨破壊、脊椎病変 | X線・MRI・CTで評価 |
| β2ミクログロブリン | 血中・透析液中で高値 | 血液検査で測定 |
| 生検 | アミロイド沈着(コンゴーレッド染色陽性) | 関節包や腱鞘組織で確定診断 |
診断は臨床症状と画像所見、β2ミクログロブリン高値、組織生検によるアミロイド沈着の証明で行う。MRIは骨嚢胞や軟部組織病変の描出に有用。
治療
- 第一選択:高性能透析膜(high-flux膜)への変更、血液濾過併用
- 補助療法:関節内注射、リハビリテーション、鎮痛薬
- 注意点:手根管症候群や重度関節障害では手術適応を検討
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| アミロイドーシス | 全身臓器障害、心・腎・肝障害 | アミロイド蛋白の型が異なる |
| 骨粗鬆症 | 骨密度低下、骨折リスク | 骨密度測定で低値 |
補足事項
高性能透析膜の普及により発症頻度は減少傾向だが、今なお長期透析患者のQOL低下要因である。透析患者の運動器症状出現時は本症を念頭に置く必要がある。