赤芽球癆
概要
赤芽球癆は骨髄における赤芽球系細胞の著明な減少または消失による、重度の正球性正色素性貧血を特徴とする疾患。主に自己免疫機序やウイルス感染、薬剤などが原因となる。小児と成人で発症様式や背景に差異がある。
要点
- 骨髄での赤芽球系細胞の著減・消失が本態
- 重度の貧血をきたし、網赤血球も著減する
- 原因は自己免疫性、ウイルス感染、薬剤性など多岐
病態・原因
赤芽球癆は造血幹細胞から赤芽球への分化が障害される疾患で、自己抗体やT細胞による赤芽球前駆細胞の破壊、パルボウイルスB19感染、薬剤、腫瘍性疾患(胸腺腫など)が主な原因となる。先天性と後天性に分類され、後天性が多い。
主症状・身体所見
進行性の貧血症状(全身倦怠感、動悸、息切れ、めまいなど)が主で、黄疸や脾腫は通常認めない。出血傾向や感染症のリスクは低いが、重症例では心不全症状が現れることもある。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 末梢血液検査 | 重度の正球性正色素性貧血・網赤血球減少 | 白血球・血小板は通常正常 |
| 骨髄穿刺 | 赤芽球系細胞の著減・消失、他系統は保たれる | 巨核球・顆粒球系は正常 |
| パルボウイルスB19検査 | IgM抗体陽性・PCR陽性 | ウイルス感染の鑑別に有用 |
骨髄検査で赤芽球系細胞の著減または消失が診断の決め手となる。二次性の場合は原因検索(ウイルス、腫瘍、薬剤歴など)が重要。画像所見は胸部CTで胸腺腫の合併を検索する。
治療
- 第一選択:自己免疫性では副腎皮質ステロイド、ウイルス性では支持療法
- 補助療法:免疫抑制薬、IVIG(免疫グロブリン大量療法)、輸血
- 注意点:原因疾患の治療、薬剤性の場合は中止、感染予防
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 再生不良性貧血 | 汎血球減少、全系統の低形成 | 白血球・血小板も低下、骨髄全体の低形成 |
| 鉄欠乏性貧血 | 小球性低色素性、網赤血球は低下しない | フェリチン低下、骨髄で赤芽球は保たれる |
| 溶血性貧血 | 網赤血球増加、間接ビリルビン上昇 | 骨髄で赤芽球増加、溶血所見あり |
補足事項
胸腺腫合併例では腫瘍摘出が奏効することがある。パルボウイルスB19による一過性赤芽球癆は免疫抑制患者で重症化しやすい。長期経過例では他の自己免疫疾患の合併にも注意が必要。