血球貪食症候群
概要
血球貪食症候群(hemophagocytic syndrome)は、活性化したマクロファージやT細胞による血球貪食現象を特徴とする重篤な全身性炎症反応症候群。発熱、肝脾腫、血球減少などの症状が急速に進行し、多臓器不全を来すことがある。原発性と二次性があり、感染症、悪性腫瘍、自己免疫疾患などが誘因となる。
要点
- マクロファージ活性化による血球貪食と高度な炎症反応
- 発熱、肝脾腫、汎血球減少など多彩な全身症状
- 早期診断・治療が生命予後の鍵
病態・原因
血球貪食症候群は、免疫細胞(主にマクロファージやT細胞)が異常に活性化し、自己および他者の血球を貪食することで発症する。原発性(家族性)は遺伝子異常に起因し、二次性はウイルス感染(EBウイルスなど)、悪性腫瘍、膠原病などが誘因となる。
主症状・身体所見
発熱、肝脾腫、リンパ節腫脹、出血傾向、黄疸、意識障害などがみられる。血液検査では汎血球減少、高フェリチン血症、高トリグリセリド血症、低フィブリノゲン血症などが特徴的である。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 血液検査 | 汎血球減少、フェリチン高値、トリグリセリド高値 | 診断の重要指標 |
| 骨髄穿刺 | 血球貪食像 | マクロファージによる血球貪食を確認 |
| 画像検査 | 肝脾腫 | 超音波・CTで評価 |
HLH-2004診断基準(8項目中5項目以上)や骨髄検査による血球貪食所見が診断の根拠となる。フェリチン高値やトリグリセリド高値は診断補助となる。
治療
- 第一選択:ステロイド、エトポシド、シクロスポリンAなどの免疫抑制療法
- 補助療法:支持療法(輸血、感染対策、臓器保護)、基礎疾患治療
- 注意点:早期治療開始と多臓器管理、再発・進行例では造血幹細胞移植も考慮
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| 敗血症 | 感染症状主体、DIC合併 | フェリチン上昇は限定的 |
| 多発性骨髄腫 | 骨病変、M蛋白 | 骨髄で形質細胞増殖 |
| 白血病 | 著明な白血球増多 | 骨髄で芽球増加 |
補足事項
血球貪食症候群は進行が早く、治療遅延が致命的となるため、疑った段階で迅速な対応が重要である。二次性の場合は基礎疾患の精査と治療も不可欠。