血清病
概要
血清病は、異種タンパク質(主に動物由来抗血清)投与後に発症するII型アレルギー反応(免疫複合体型)である。発症は投与後1~2週間で、全身性の炎症症状を呈することが特徴。近年は抗毒素血清の使用減少により稀な疾患となっている。
要点
- 異種タンパク質投与後に発症する免疫複合体疾患
- 発熱、発疹、関節痛など全身症状が主
- 予防には原因薬剤・抗血清の回避が重要
病態・原因
主に馬やウサギなど動物由来の抗毒素血清や一部の薬剤投与後、異種タンパク質に対する抗体が産生され、抗原抗体複合体が各組織に沈着して炎症反応を引き起こす。免疫複合体によるII型アレルギー反応が中心である。
主症状・身体所見
発熱、発疹(蕁麻疹様や紫斑)、関節痛・関節腫脹、リンパ節腫脹、全身倦怠感がみられる。時に蛋白尿や腎障害などの臓器障害を伴うことがある。
検査・診断
| 検査 | 所見 | 補足 |
|---|---|---|
| 血液検査 | 白血球増多、好酸球増加、CRP上昇 | 補体価(C3,C4)低下あり |
| 尿検査 | 蛋白尿、血尿 | 腎障害の有無を評価 |
| 皮膚生検 | 血管周囲の好中球浸潤 | 必要時に実施 |
原因となる薬剤や抗血清投与歴と、典型的な臨床経過(投与後1~2週間で発症)から診断する。補体価低下や免疫複合体の証明が補助となる。
治療
- 第一選択:原因薬剤・抗血清の中止
- 補助療法:抗ヒスタミン薬、NSAIDs、重症例ではステロイド投与
- 注意点:再投与時の重症化リスク、腎障害・ショックへの対応
鑑別・比較
| 疾患 | 見分けるキーポイント | 検査差異 |
|---|---|---|
| アナフィラキシー | 即時型反応、呼吸・循環障害が主 | 発症が早い、補体価低下なし |
| 薬疹 | 発疹が主、関節痛少ない | 皮膚症状中心、免疫複合体沈着なし |
| 全身性エリテマトーデス | 慢性経過、多臓器障害 | 抗核抗体陽性、自己抗体 |
補足事項
かつてジフテリアや破傷風などの抗毒素血清治療で多発したが、現在は薬剤性が主となる。再投与で重篤化することがあるため、既往歴の聴取が重要である。